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高校デビュー
【学園物 官能小説】

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第一話(行為なし)-1

初めて彼女を見たのは、入学式での生徒会長の挨拶の時。
壇上に上がり、綺麗な長い黒髪を揺らしてきりっと歩くその姿は、とても凛々しかった。

「新入生の諸君。私は生徒会長の桃園香澄だ」

なんとも男らしい出だしの挨拶。

「学生であるのは今のうちだけだ。だから君たち、高校生活を大いに楽しめ。だが人様に迷惑はかけるな。以上!」

そしてあっさりと生徒会長の挨拶は終了した。

「パネェぜ…」

未だに二次元世界にいるのでは、なんて思ってしまう。
生徒会長、美少女、凛々しい。
こんなスペック……これが三次元なんて信じられねぇぜ。

「付き合ってくださぁぁぁぁぁい!」

だから僕は叫んだ。
全校生徒がいる前で、壇上の生徒会長に愛の告白をした。
途端に静まりかえる体育館。
そして徐々に僕へと集まってくる視線。

「新入生か、おもしろい。上がってくるといい」

そう言われ、足を震わせながらもゆっくりと壇上へ向かい、上がる。
大丈夫だ。こんな状況が三次元のはずはない。

「確認しておくが、今のは私に対して恋人になってくれと言ったのだな?」

「は、はい」

三次元ではないと思っているのに、どうしても声が震えてしまう。

「そうか……ありがとう。だが断る」

「えっ…あ…?」

おやおやちょっと耳が遠くなったようですよ。
三次元でもないのに『断る』という幻聴まで聞こえましたよ。

「もう用は済んだだろう?さっさとクラスのところへ戻れ。ハウスだハウス」

なん…だと!?
なぜだ!?二次元なら間違いなく『オーケー』のはずだろう!?仮にフラれてもそれは伏線で、結局あとから付き合うことになるのだ。
そうか!つまりこれも伏線なのだな!ふはは!

「何をぶつぶつ言っているんだ。さっさと消えろ」

「なぁ…生徒会長さん…ここは、二次元…だよな?」

「甘ったれるな。ここは三次元。イヤなことがあろうともリアルはリアルだ」

現実…だと?
じゃあ何か。全校生徒の前で告白したのも、全校生徒の前で撃沈したのも現実だというのか?

「そんな現実認められるかぁぁぁ!」

「聞け新入生。君は私にフラれたんだよ。それが現実だ」

「うわぁぁぁぁぁぁんっ!?」

現実を突きつけつられ、僕は泣き叫びながら体育館から逃走した。


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