あの頃出来なかったこと-13
今度はあたしが優真先輩の上に重なる形となる。
彼はあたしの髪の毛を耳にかけると、
「自分で好きなように動かしてみて」
と言った。
「え、そんなこと……」
恥ずかしくて出来ないと、思わず目をそらす。
陽介とのセックスはいつもアイツが主導権を握っていて、基本的に受け身なあたしは、常に陽介に任せっきりだった。
だから、女が自ら腰を動かすこの体勢というのには抵抗があったのだ。
下唇を噛んでフルフルと首を横に振ると、髪を撫でていた手が頬にするりと落ちた。
「いいから、自分のペースで動いてみな? 恵がオレを求めてくれる姿を見てみたい」
「……先輩」
「もっともっと、恵の淫らな姿を見せて」
優真先輩の言葉にあたしは腰を恐る恐る動かし始めた。
「んっ……あん……」
優真先輩のお腹に手を置いてバウンドするみたいに上下に動かしてみる。
ペニスに埋もれる度にニチャニチャとベトつく音が張り付く。
「恵、入ってるとこ丸見えだ」
「やっ……そんなこと言わないで……」
「恵のマン汁、白くなってるよ。ホラ見てみ?」
あたしを貫いているソレは、腰を上下させる度に白く泡立つ液体に塗れて光っていた。
ああ、あたしは優真先輩の身体でこんなに感じていたんだ。
視覚が現実を認めてしまうと、自然に腰の動きが激しくなる。
優真先輩が言ってくれたみたいに、今は何も考えないでひたすら気持ちよくなりたい。
下半身が溶けていくような感覚に、次第にあたしの理性も麻痺していった。
「ああっ……先……輩……、あんっ、あたし……」
やがて、あの波がやってくる。
陽介とのセックスの度に味わってきた、あの絶頂感。
無意識のうちに、動く腰は上下から前後にスライドする動きに変わる。
「あっ、あっ、ああっ……気持ち……いい……」
後ろに腰を引いてから前に動くとクリトリスがペニスにあたってたまらない快感が身体の中心に走る。
そうなると、あたしはもう恥ずかしい気持ちよりも、早くイキたい一心で腰を激しく揺らしていた。