あの頃出来なかったこと-12
無我夢中で口や手を動かすあたし。それに負けじとあたしのヴァギナを舌や指で丹念に責めてくる優真先輩。
「んんっ! ふぅ……っ」
二人の発する水音や、くぐもったあたしの喘ぎがしばらく部屋に響き渡っていた。
「……恵、そろそろ挿れていい?」
優真先輩の言葉に、あたしはペニスから口を離して彼の身体から降りた。
身体を起こした優真先輩は、軽くあたしにキスをしてからゆっくりベッドに押し倒した。
「好きだ、恵」
「……あたし……」
あとに続く「も」という一言がどうしても出なかった。
こんな時でもやっぱりよぎるのは陽介の顔で。
中途半端な状態のくせにセックスだけはちゃっかりしている罪悪感からか、あたしは優真先輩から顔を反らした。
「無理しなくていいよ。これからゆっくり忘れていけばいいから」
「先輩……」
「だから、今は何も考えないで気持ちよくなることだけに集中して」
優真先輩はそう言うとあたしの中に欲望を一気にねじ込んできた。
「ああんっ!」
「恵の中、トロトロだ……」
「あっ、いやっ、あ……ああ!」
あたしの中が優真先輩で満たされると、下腹部から込み上げてくる熱に、たまらず彼の身体にしがみつく。
優真先輩あたしの髪を軽く梳いてから、深いキスであたしの歯の裏をなぞった。
そしてあたしの身体にしっかり腕をまわしてから、腰を動かし始めた。
「あんっ、あっ、ああっ……」
「くっ、そんな締め付けないで」
「はっ、やあっ……あん……あっ」
部屋に響き渡る淫らな声と絡み合う体液の音。
その音を聞きながら、あたしは自らも腰を揺らし始めていた。
それに気付いた優真先輩は、あたしの身体を抱えたままゆっくり身体を起こす。
対面座位になって、優真先輩はあたしの頭を撫でながらフッと微笑んだ。
「……恵、自分でも動かしてるね」
「や、やだ……あたしは……その……」
「そういうエロいとこ、すごいそそる。もっと気持ちよくなりたいの?」
「…………」
そんなこと、この繋がった状態で恥ずかしくて答えられない。
モジモジしながら黙っていると、優真先輩は自分が下になるように倒れ込んだ。