7-1
深い眠りに着けなかった元は、何時にまして暗い朝を迎えた。
そのまま元は、美帆よりも早く家を出た。
「元ちゃん、今日も....いや、暫くずっとうちに帰ってきていいからね」
気遣いではなく、美帆の本心から出た言葉だ。
「ありがとう。とりあえず、また連絡するね」
一言残し、美帆の家を後にした。
何時もより学校が遠く感じる。
足が重い気がする。
元の心身には見えない鎖が巻き付いているようだった。
教室に入ると、皆の視線は元に集まった。
一瞬だが、静寂が包んだ。
気付いた鉄弥と暁生が駆け寄る。
て「....来ねーかと思ったよ...」
は「ちょっと、一人はしんどくてさ....」
二人とも、元のそんな言葉は知り合って以来入って初めて聞いた。
それだけで、元の辛さが垣間見えた。
あ「......絢ちゃんは?」
は「まだ連絡ない。まっちゃんは?」
あ「大丈夫。安定してる。取り敢えず二週間ってとこ」
は「そっか....」
三人が始業前の廊下で話していると、担任の山中が声を掛けてきた。