迷惑な来客-4
「ええ。村田桔平くんといって、名古屋で中華料理の修業をしていた子なんです。23才と若いので鍛え甲斐あります」
店主の小野は四角い顔を綻ばせた。店員の村田は人懐っこい表情を見せて、会釈した。イメージ的には、出っ歯なコメディアンだ。
カウンター席に四人は腰掛けた。勝雅の左横に美恵子。勝雅の右に瀬田朋美。朋美の右に宮原琢也だ。
「とりあえずビール」
宮原がすかさず注文する。
「さあ、何を食べようかなあ?」
宮原はメニューを見ながら、嬉々としている。
(人の財布をあてにしやがって。ボンクラが…)
宮原たちは、唐揚げだの、エビチリだの、バンバンジーだの、チャーハンだの、六品ほど注文した。
「桔平くん、明日、朝から運転免許の講習だろう。もう上がっていいよ」
「ありがとうです」
小野と村田の会話が耳に飛び込んできた。
23時24分。
勝雅のケータイが着信音を響かせた。ディスプレイに「土屋紗綾」の文字が浮かんでいた。