美咲【2】〜8月21日(水)〜-3
体を反転させる。
全裸の留学生さんがそこにいた。うわ、胸の形すご……。
足は汚れ、手には不可視の性剣が握られている。
「私は城峰美咲。あなたは?」
「……ツェツィーリア・ワーグナーですわ」
ほっと胸を撫で下ろす。
朝の冷気のおかげなのか、さっきよりは冷静みたい。
「ワーグナーさん。どうしていきなり、私に斬りかかってきたの?」
「ハヤト様を振ってなお、こんな時間にハヤト様に会いにきて、ハヤト様をたぶらかそうとしていたからです」
「ううん?」
どこから突っ込んだものだろう。
たぶらかすというか、エッチをしたかったのは事実だけれど。
「私が隼人を振ったなんて、誰が言ってたの?」
「もちろんハヤト様ですわ」
ワーグナーさんが裸な件も含めて、隼人にはあとで色々と聞いておく必要がありそうね。
「それは隼人のデタラメです。私たちは今でも恋人です相思相愛です」
「そうですか……なら、証拠を見せてくださらない?」
「証拠……?」
証拠になるものなんて持ってきていない。財布の中には隼人の写真が入っているし、携帯電話には付き合う前に撮ったプリクラ写真が貼られてはいるけれど、そんなものを持ってくる余裕はなかった。性的な意味で。
それこそ隼人との繋がりを示すものなんて、この性剣ぐらいしか……。
「性剣」
「?」
「この性剣――セクスキャリバーこそがその証拠よ!」
七性剣を得るには七本の性剣が必要で、そのためには他の性剣士から性剣を奪う必要がある。
その際の最も簡単な方法は、性剣士を絶命させること。
だがそれ以外の方法として、相手の性剣士から性剣を譲り受けることも可能だったりする。
「私の夢は、隼人のお嫁さんになること!だからこの性剣は渡せない!」
「そうですか……なら、戦うしかありませんわね」
しまった戦う流れになっちゃったぁぁぁ!?
「はぁぁぁっ!」
「くぅっ!?」
振り下ろされた斬撃を受け止める。
この人、私より力があるみたい……!
「どうしましたっ!?ハヤト様の嫁になるのではなかったのですかっ!?」