隼人【3】〜8月21日(水)〜-1
ふと夜中に目が覚めた。
「ん……」
携帯電話で時刻を確認しようとしたところで、股間が膨張していることに気付く。
尿意でこうなっているのではないことはわかる。
「マジですか……」
ツツーリアさんを家に送り届けてから、もう一度美咲とHをして何度も射精した――何度出しても量が変わらなかった――というのにこの有り様だ。
ユグドラシルパワー半端ねぇっす。
「我慢……できるわけねぇよな」
改めて時刻を確認する――深夜二時。
ベッドから起き上がり、『ある物』を手にして静かに部屋を抜け出す。
「…………」
恐ろしいほどに静まりかえった我が家。
当然明かりもついていない。
「…………」
忍び足で階段を下り、ツツーリアさんが使用している和室の襖をそーっと開く。
こだま電球が微かに室内を照らしていた。
「…………」
暑いのか掛け布団をはがし、パジャマの胸元を広げて眠っているツツーリアさん。
「つ、ツツーリアさん……?」
念のため小声で呼び、確実に眠っていることを確認する。
「…………」
部屋から持ってきた物――地下室の鍵があることを再度確認し、一旦部屋から出て地下への階段を下りる。
「…………」
階段を下りてすぐ横にある扉。
鍵穴に鍵を差し込み、時計回りに九十度回すとカチッと音が鳴った。
「よ、よし」
まずは部屋の中を確認しておかなければと思い、扉を開く。
「お、おぉ……」
八畳ほどの狭い部屋だった。
その真ん中に、大きなピンク色のベッドがでん!と置いてある。
奥に扉があるので、恐らく文献とやらはあそこにあるのだろう。が、何も夜中に文献を読みに来たわけではない。
「やば、我慢できなくなってきた」
足音をたてないように注意しつつ、急いで和室へと戻る。
ツツーリアさんは未だにすやすやと眠っていた。
「はぁ、はぁ……」
ケダモノのようにツツーリアさんの寝姿を見つめ、しかし場所を移してからだと自分に言い聞かせてツツーリアさんをお姫様抱っこする。思ったより軽い。