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夢を叶える七性剣
【ファンタジー 官能小説】

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ツェツィーリア【1】〜8月19・20日(月・火)〜-4

「は、ハグソーリー?」

怪しい英語で謝罪されてしまいました。
どうやら悪い方ではなさそうです。
ワタクシの名前を知っていたのは気になりますが、先ほどの行いもワタクシをあの野蛮人から助けるためなのでしょう。

「英語でなくても結構ですわ」

「え……あ、日本語話せたのね」

「先ほどの男性を追い払うために、親しい振りをしただけですわよね?」

「もちろんです」

曇りのない笑顔で言われて少しドキッとしてしまいました。
日本人の少年に恋をしたわけではありませんわよ!?そんな、一回助けられたぐらいで落ちるような、軽い女じゃありませんわ!
……なんてモヤモヤと戦っている場合ではありませんでした。

「そうですか。その件に関しては素直にお礼を言わせてもらいます」

ですが、とワタクシは続ける。
どれだけこの少年がかっこよくっても、ワタクシの名前を知っていたという不気味な謎が残っているのですわ!

「どうしてワタクシの名前を知っていたのです?」

「はじめましてツツーリアさん。俺は無花果隼人っていいます」

「イチジク、ハヤト……」

どうして急に自己紹介なんて……あ。

「……イチジク?」

「そ。君がホームステイする先の息子」

運命を感じてしまいました。
日本人なんて野蛮で汚らわしいとばかり思っていましたが、こんな少年が勇気を振り絞って下心もなしにワタクシを助けてくれて、しかもこれから一週間……いいえ、元々の予定では三ヶ月でしたか。三ヶ月も同じ屋根の下で――ってワタクシは何を考えていますの!?

「……そうですか。安心しました」

「じゃあ行こっか」

「待ってください!」

歩き出そうとしたハヤトさんを呼び止める。

「名乗られたら名乗り返すのが礼儀ですわ」

それに――認めたくはないけれど――好きになった男性にはきちんと名前を覚えてほしい。

「はぁ」

「ワタクシの名前はツェツィーリア・ワーグナー。これからお世話になりますわね、ハヤトさん」

握手を求めて右手を差し出すと、意図が伝わったようで握り返されて嬉しく思ってしまう自分がいます。


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