6-8
「仕返しなんかしたって、変わらない。今は、絢ちゃんを支えることだけ考えて」
「うん....」
「....もし元ちゃんが馬鹿なこと仕出かしたら、私.....別れるから...」
「うん....」
再び無言になった二人は、別々にシャワーを浴びた。
特に会話も続かず、何より二人とも疲れきっていたので、すぐにベッドに入る。
元は赤子のように丸くなり、美帆は何も言わずに抱きしめた。
美帆の胸に顔を埋めて、小さな声で言った。
「絢.......大丈夫だよね.....また、笑うよね...」
「うん.....大丈夫。大丈夫だよ....」
いつもそうしてもらっているように、元の髪を撫でた。
「面会出来る様になったら私毎日会いに行くし、真紀ちゃん達もいる。皆で、絢ちゃんを守るから...」
「.....うん」
元の声は、震えていた。
顔は見えないが、泣いているのが分かった。
「私、明日は朝から講義なんだけど、元ちゃん、ここにいていいからね?」
「....うん、ありがとう。でも....学校行くよ。テツ達もいるし、一人は辛いんだ」
その言葉を聞いて、美帆は一層強く元を抱いた。
「無理は.....しないでね」
「うん......ありがと....」
絢は、自分にとっても実の妹のような存在だ。
しかし元の苦しみは、美帆には推し量ることさえ出来ない。
元の側にいる。
美帆が今出来る精一杯のことだ。