6-7
「あ.....俺、やるのに」
「いいの。何かしてないと落ち着かなくて...」
先に洗い物を済ませてソファーに戻った元。
少し遅れて、両手にカップを持った美帆が隣に座る。
「元ちゃんには敵わないと思うけどね...」
少し微笑みながら、カップを差し出した。
「...おいしいよ」
「ほんと?嬉しいな。でもまだまだかなぁ
」
「そんなことない.....すげぇうまい」
そう言って、カップをテーブルに戻す。
視線は黒い液晶に向かったままだ。
「....元ちゃん、何考えてるの...?」
「....何も...」
元は嘘をついた。
頭の中では、あの二人組をどう始末するかで一杯だった。
「元ちゃん....復讐するとか....馬鹿なこと考えないでよ...」
美帆に頭の覗かれているような気がして、動揺した。
きっと、元から発せられる空気で感じ取ったのだろう。
「....んなことするわけないじゃん」
取り繕ったように答えた。
「ほんとに?」
「あぁ....」
「元ちゃん、約束して」
元の手を取って、続けた。