5-2
ま「わりぃ、遅くなった」
は「ほんとだよ」
あ「なんだったの?」
ま「煙草疑惑で、説教。ついでに、明日授業で使うこのプリント、体育館の事務室に置いてこいって」
は「あーぁ」
ま「俺だけっておかしくね?ちゃんとファブってんだけどなー...」
あ「まっちゃん、口割ったの?」
ま「まさか」
は「処分は?」
ま「無い。説教だけ。疑惑なのによ。マジで勘弁してほしいわ」
は「まぁいいじゃん、終わったんだし。行こうぜ」
ま「....や、だからさ、これ持ってかなきゃなんねーの。事務室まで」
そう言って、右脇を指差す。
そこそこの厚みの、プリントの束を挟んでいる。
は「誰も読まねーよそんな紙」
あ「形式的にさ、必要なんじゃないの。とにかくまっちゃん、早く行って来なよ。俺ら待ってるから」
ま「わりぃ。すぐ戻るわ」
は「まっちゃん、ノド渇いたー」
ま「ツバでも飲んでろ!」
サッカー部や野球部の掛け声が響く中、中庭を跨ぐ体育館までの渡り廊下を歩く。
(部活ね...全く、よくやるよ...)
事務室の前に差し掛かり、担任から預かった鍵を探す。
(あれ....ポケットに入れたはず....)
ポケットを探っているその時、事務室の隣、用具室から話し声がすることに気付いた。