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休日のバスは、渋谷方面行きとはいっても空席が目立つ。
空いている二人がけのシートに近づくと、見たことのある顔が二つ並んでいた。
「お、絢。真紀ちゃん」
「あー!兄貴!美帆ちゃーーーーん!!」
「絢ちゃん!おはよう!久しぶりだねぇ!」
調度、同じく渋谷方面へ出掛ける途中の絢と真紀と乗り合わせた。
元達は絢達の後ろに座り込む。
シートを跨ぎ、美帆は後ろから絢を抱き締めた。
「絢ちゃん髪伸びたねぇ。可愛い!」
「....へへっ。美帆ちゃんも相変わらずかわいいよぅ!いい匂いするし〜」
自分の身体を抱えている美帆の腕に顔を寄せる絢。
絢は、とにかく美帆にメロメロだ。
そんな二人のやり取りを、ぼーっと見詰める真紀。
それに気付いた元が真紀の肩をたたいた。
「真紀ちゃんは、初めてだよね。美帆と会うの」
「あっ.....美帆さん....」
頭が真っ白になった。
美帆は、真紀の想像よりも大人で、且つ可愛いかった。
「俺の彼女の美帆。で、この子は真紀ちゃん。絢のクラスメイトで、てっちゃんの妹」
「あ!鉄弥くんの妹さん!初めまして、美帆です!」
屈託のない笑顔を向けられ、慌てて目を伏せる真紀。
「あっ......初めまして。高山真紀です...」
「そんなフルネームで自己紹介しなくてもいいじゃん!」
絢の突っ込みはどこ吹く風か、真紀の頭は眼前の美帆で一杯だ。