嫉妬、そして……-7
付き合い始めの頃は、幸せいっぱいで気が付かなかったことが徐々に見え始めて来た。
カノジョがいても女の子が常に寄ってくるほどモテる陽介。カノジョがいても一向に遠慮しないで近づいてくる女の子達。あたしよりも陽介を理解している、元セフレのくるみさん。
そして、陽介と到底釣り合わないような、平凡女のあたし。
きっとあたしと陽介は元々住む世界の違う人種で、あたしが背伸びをしてなんとか陽介に追いつくような、それぐらいの差があったのかもしれない。
だけど、あたしはやっぱり陽介が大好きで、この人を失うことなんて考えられない。
剥き出しの白い脚の甲に自分の涙が落ちる。
他の女に渡したくないほど好きな気持ち。それは陽介にとっては重荷にしかならないのだろうか。
陽介はため息を吐き切ってから、おもむろに口を開いた。
「結局さ、メグは俺のことが信じられねえから、そうやって度の過ぎたやきもち妬いてんだろ? 俺がいくらメグのことだけが好きって言っても、他の女と挨拶したくらいで疑心暗鬼になってしまって……」
陽介の低いトーンにただならぬ嫌な予感がして、ゾワッと鳥肌が立った。
これ以上陽介の話を聞いたら取り返しのつかないことになる、そんな気がした。
でも、陽介は間髪入れずに決定的な一言をあたしに言い放った。
「一緒にいても、お前は不安になる。信じてもらえない俺も辛い。こんな状態でうまくいくわけねえじゃん。
――だったら、もう終わりにしようぜ」
その言葉だけが、やけに耳に残ってあたしは目の前が真っ白になった。
あれだけ一緒に過ごして笑い合った日々、激しくお互いを求めて抱き合った夜。
二人で過ごした時間を、たった一言で片付けちゃうの?
「い……やだよ……」
震える手を陽介に伸ばすけど、彼はスッと身体を遠ざけ、それを拒んだ。