嫉妬、そして……-2
「そんなに会いたいなら会いに行けばいいのに」
「ダメだよ、陽介は毎日疲れて帰ってくるんだから、邪魔しちゃいけないでしょ」
「でも、臼井くんのアパートで待ってて一緒に寝るくらいなら邪魔にはなんないでしょ? それもダメなの?」
輝美の言葉に顔がほんのり熱くなる。
確かにそれくらいなら邪魔にならないかも、と思うことはあった。
でも陽介が隣にいたら、今のあたしはきっと抱いて欲しくて襲っちゃうかもしれない。
アルバイトで疲れて帰ってきた所に、あたしに襲われたら陽介は身体がもたなくなってしまうだろう。
だからあたしはここんとこ毎晩、一人エッチで自分を慰めていたのだ。
それを思い出して、一人顔を赤くして俯くあたしに、輝美は首を傾げる。
「わかんないなあ、恵は臼井くんのカノジョなんだから、会いに行くのは当然の権利なのに、何で遠慮してんの?」
――カノジョだから。
そう、カノジョだから当たり前に会いに行ける権利はある、と思う。
でも、歴代のカノジョ達はおそらくこの権利を酷使し過ぎて、その結果陽介はくるみさんの元に走ってしまったのだ。
あたしは、そんな過ちを犯したくない。
くるみさんの元になんか行かせない。
その思いだけが意地になったあたしをなんとか支えていた。
「でもさあ、そんなにすれ違ってばっかりで大丈夫なの?」
「まあ、寂しいには寂しいけど……、大丈夫だよ」
陽介は、自分を信じてって言ってくれたもん。
にっこり微笑んで、「カノジョとして」の余裕を見せるあたしに、輝美は何だか複雑そうな顔を向けた。
「輝美、どうしたの?」
キョトンとして今度はあたしが首を傾げる。
「いや、いくらカノジョだからってあまり連絡とらないで放置すんのはよくないかもよ? まして相手はあの臼井くんなんだし」
「……どういう意味?」
あたしがそう訊ねると、輝美は少し言いづらそうに目を反らしつつ口を開いた。
「――こないだ彼を学校で見かけたんだけどさ、女の子に囲まれてたよ?」
……え?