第十一話〜告白〜-4
「れろれろ、んちゅ…れろれろ…んはぁ、はぁ…また愛理の中に出しちゃったな…」
「そん、なの…今さらだよ…」
一時的に腰を休め、キスもやめて額をくっつけ合う。
「………」
「………ん」
目と鼻の先にある互いの目を見つめ、俺は短いキスをした。
「ふふ、幸せ…」
「愛理、好きだよ」
俺は唐突にそう告げた。
「………」
目を見開き驚く愛理。
「…もう一回、言って」
「好きだよ」
「ふふ…私も、弘樹のこと大好き」
そうしてもう一度深いキスをした後、俺たちは離れた。
「んー!今日はぐっすり眠れそうだ」
「いつもぐっすり寝てるでしょ」
「はは、それもそうか」
余談だが、母さんと父さんが今日はまだ風呂に入っていないということに気付くのはほんの数分後だった。
***
時は少し進んで約一ヶ月後、夏休み明け最初の登校日。
「神田先生」
「え?ど、どうしたの愛理さん?」
朝のホームルーム時、俺以外の人に対しては消極的だった愛理が珍しく神田ちゃん(担任)に話しかけた。
「私、弘樹と付き合うことになりました」
「そ、そうなの?おめでとう…でいいのよね」
「ありがとうございます。なので早退してもいいですか?」
「えぇ!?どうしてそうなるの!?」
「弘樹とイチャつきたいからです」
「そ、んな理由で早退できるかぁぁぁ!!」
三十代にして独身の神田ちゃんは吠える。嫌味に聞こえたのだろう。
「イチャイチャしないと死んでしまいます」
「知るかぁぁぁ!?」
「はっ!まさか先生、弘樹のこと…」
どうしてそうなった。
愛理の暴走を止めるべく立ち上がる。本当は目立つのってイヤなんだけど。
「愛理」
「なにっちゃか?」
なぜラムちゃんになった。
いや、そんなことはどうでもいいか。
「なでなでしてあげるからおいで」
「わ〜い♪」
「おい佐藤ってあんなキャラだったっけ?可愛いじゃないか」や「くそうオタクに取られるなら告っときゃよかったぜ」などと言いながら俺たち二人に視線を向けてくる男子諸君。
語られはしなかったが、夏休み前までは中二病の愛理を貶していたっていうのに、手のひらを返しやがって。