第八話〜幼馴染み〜-1
なんて言ってはみたもののそんなわけはなく、俺は部屋に戻ってソファに寝転がり、ネタ振りをした。
あ、違う。
寝たフリだ。
ちなみに掛け布団とかそういったものはない。暑いからな。
しばらくしてドアの開く音。愛理が戻ってきたのだろう。
「見たよね?」
眠っている(フリをしている)俺に話しかけてくる愛理。
しかし俺は眠っている(フリをしている)ので、それに応えることはできない。
「覗きは犯罪だよ」
そんなことは知っているけどあれは不可抗力だ。
それ以前に愛撫させてくれたんだから、それぐらいは見逃してほしい。
あ、でも生で愛理のおっぱいを見たのは初めてかもしれない。
「人の裸を見ておいて『いいおっぱいだ』はないんじゃない?」
そんなこと言われても困る。
俺は思ったまま言っただけなんだから。
前に貧乳って言ったけれど訂正しよう。
貧乳っていうほど愛理のおっぱいは小さくない。
ただ巨乳ではないだけだ。
「起きてるのバレバレ」
股間に何やら擦りつけられた。
「気持ちいい?」
足だ。それも恐らくは素足。
愛理の素足が俺の股間を踏みつけているのだ。
「あ…いけない。寝るんだった」
足コキを中断された俺は、やるせない気持ちになる。
途中でやめるなんて、それこそ拷問ではないか。
すぐ隣に人の気配。愛理が横になったのだろう。
「………」
ゆっくり瞼(まぶた)を開くと、照明が消えて部屋の中は真っ暗になっていた。寝るのだから当たり前か。
振り返ると、背中合わせになって愛理がすぐ隣で眠っていた。
「すー…Zzz」
本当に文字どおり眠っていた。
「ひろき……」
目を覚ましたのかと思ったが、ただの寝言だった。
「おちんちん、可愛い…Zzz」
おい、そんな寝言を聞いたら眠れなくなるだろうが。
***
しかし疲れていたせいかぐっすりと眠ってしまっていた俺は、正午過ぎに目を覚ました。
「ん…愛理…?」
隣に愛理の姿はない。
こんな時間だし、起きてどこかへ出かけたのだろう。
「ふわぁ…」
居間に下りてみると、愛理がキッチンで料理を作っていた。
よく見ると冷凍食品だった。