第八話〜幼馴染み〜-5
「他人事で表すなら」
「他人事で表してどうする」
「ではなく、独り言で表すなら」
「俺は真面目に聞いてるんだよ。おっぱい揉むぞ」
「胸ならあとで好きなだけ揉ませてあげるけど」
マジか。じゃあお言葉に甘えてモミモミしちゃおっかなぐへへ。
「一言で表すなら、許嫁」
許婚(いいなずけ、いいなづけ)とは、現在の概念では幼少時に本人たちの意志にかかわらず双方の親または親代わりの者が合意で結婚の約束をすること。また、その約束を結んだ者同士をさす言葉。許嫁とも書かれる。
(Wikipediaより)
「それこそエロゲーじゃねーか。さすがにそれは作り話だろ」
「親同士が勝手に決めたことで、最近まで忘れていたみたい」
でも、と愛理は続ける。
「私はずっと弘樹のことが好きだったし、ずっと見てきた。それこそストーカーのように」
「ようにっていうかストーカーだよな」
そういえば手紙にも『ずっと見てきた』って書いてあったな。
「あれ?でも転校していったんだよな?だから小三の七月…何日からだったか、遊ばなくなったんだろ?」
「七月二十三日よ。七月二十三日。大事なことなので二回言いました」
そんなに強調するようなことなのかそれは。
あ、七月二十三日といえば、今年の夏休みが始まった日と同じじゃないか。
いや、そんな偶然はどうでもいいんだけど。
「それで、転校していったのにどうして俺のことを見ていられたんだ?転校先の学校が近かったとか?」
でもそれならそれで、転校しようがまだ遊べるはず…。
「あなたの部屋に隠しカメラを設置していたから」
「なん…だと」
「とまぁ、今のは冗談」
「お前は本気でやりそうだから怖いよ」
「カメラを買うお金さえあればやるわよ」
やるのかよ。
そこは否定しておけ。
「今考えてみればすぐ側で、だけど幼い私にとっては遠い距離にいたのよ」
「あー…」
小さい頃はあんなに広いと思っていた公園が、今になって行ってみたらとても狭く感じる、みたいなものか。
ちょっと違う気もするけど。まぁいい。