第八話〜幼馴染み〜-2
いや冷凍食品云々はこの際どうでもいいんだけど。
「おはよ、弘樹」
「おはよう」
問題は別にある。
エロゲーではよくあるシチュエーションだが、まさか実際に拝める日がくるとは。
「見て。似合ってる?」
エプロン姿を見せびらかす愛理。
「ああ…まぁ…」
「曖昧だなぁ…」
というか、愛理はエプロンしか身につけていなかった。
世の男性たちの憧れ、即ち『裸エプロン』である。
「世の男性たちの憧れ、即ち『裸エプロン』である」
「………」
俺が思っていたことをそのまま口にされた。
すごく恥ずかしい。
まるで俺が裸エプロン大好きな変態みたいじゃないか。好きなのは否定しないけど。
「ちなみに愛理。俺の最近の萌えポイントを教えてやろう」
「知りたいような知りたくないような」
「よくある黒と白のセーラー服に黒スト。これが今の俺の至高」
「特殊な嗜好ね」
「いいや、愛理は知らないかもしれないけど、男ってのはセーラー服が大好きな生き物なのさ」
やや主観が入っているけど。
むしろ主観しか入っていないけども。
セーラー服が嫌いな男なんてのはいないはずだ。いたとすればそいつは男じゃない。
「というわけだから愛理。今度は裸エプロンじゃなくてそっちで頼む」
「そういうマニアックなお願いは恋人になってからね」
断られた。
セーラー服がマニアックだなんて、愛理もまだまだ甘いな。
「ところで今さらだけど、なんで裸エプロン?」
「理由なんてない。ただそこにエプロンがあっただけ」
なんか名台詞みたいなことを言われた。
というより迷台詞か。
「答えになってないぞ」
今の迷台詞なら、裸なのはどうやって説明するんだよ。
「愚問ね。人は誰しも、裸で生まれてくるものよ」
なんだか難しいことを言いだしたぞ。
「それ即ち、裸で町を歩いてもなんら不思議はないということ」
そんなことをしたら補導されるかレイプされるかのどちらかだ。
「要約すると、愛理は俺とえっちなことがしたいと」
全然要約されてはいないんだけど。
「私には首肯するしか術はなかった」
「俺に脅されてるみたいに言うな」
「そうではなくて、えっちがしたい気持ちに嘘をつきたくないの」