第七話〜愛撫〜-5
「………」
いや、違うか。
例え嘘をついてでもセックスはしたいけど、そうすると愛理が傷つく。それだけは絶対に避けたい。
「ごめん…」
愛理から体を離す。
「ん…いいよ。予想はしてたから」
「予想…?」
「うん。愛撫してたら入れたくなるのは普通じゃないかな」
愛理は体を起こし、顔にかかったままだった精液をティッシュで拭いた。
「じゃあ、愛理も…」
「うん…でも、弘樹と両想いになれてからがいいな」
「そう、だな…」
エロゲーでも、互いを想いながらのセックスのほうが見ていて幸せそうだし、羨ましい。
「あ、でも愛撫は明日…というかもう今日だけど。とにかく明日からも続けるからね」
「……拷問だろ」
なるほどこれがいわゆる生殺しというやつか。
愛撫はいいけど挿入はダメ。苦しすぎる。
「ちなみに、万が一なんらかの事故で入っちゃたりしたらどうする?」
「泣く」
「………」
事故作戦は決行に移せそうになかった。移す気もないけど。
「シャワー浴びてくる。先に寝てていいよ」
「おう…」
愛理は念入りにマンコを拭いてから、替えのパンツとパジャマ(下)を持ってドアをそーっと開けた。
青いパジャマを持っているけど、上は緑色なんだがどうする気なんだ。
いやいやそれよりも。
「そのかっこ(下半身露出)で行くのか?」
「うん…変かな?」
「変っていうか…」
露出狂っぽい。
まぁ例え愛理が露出狂でも、俺は軽蔑したりしないけど。
***
愛理がシャワーを浴びに行ってから三十分が経過した頃、俺はようやく絨毯やソファについた汚れを拭き取り終えた。
「大分時間がかかったな…」
というか愛理もまだ戻ってきていない。
シャワーを浴びるだけだから、逆上(のぼ)せたりはしていないと思うが…。
「………」
心配になり、本当にただ純粋に、やましい気持ちなど微塵もなく心配になり、俺は浴室へ向かった。
「………」
「………」
更衣室代わりの洗面所。
そこに天使がいた。
一糸纏わぬ姿の愛理。
小さいけど形のいい胸。なぜか勃起している乳首。
「いいおっぱいだ」
それだけ言ってドアを閉める。
俺の人生はここで終わりを迎えた。