第六話〜接吻〜-1
レンレンからエロメールが送られてくる日々が続き、ついに高校が夏休みに突入した。
これでモヤモヤ…いやムラムラした気持ちでレンレンと顔をあわせることもない。
「遊びにきた」
などと思っていた矢先、レンレンが家へやってきた。
いつものごとく両親は仕事で不在。弟も友達の家に泊まりに行くとかで不在。
野獣の住む家にようこそ。いや、野獣は俺のことなんだけど。
「そ、そうか、遊びにか…」
そういえば。
レンレンの妹である理科ちゃんを一ノ瀬可憐だと偽らせて連れてきたあの日。
あの日以来、久しぶりにレンレンが訪ねてきたことになる。
学校では毎日のように顔を合わせてはいたんだけど。
「家族は?」
「みんな出かけてるけど…」
「丁度よかった」
なんて言って家にあがるレンレン。
そのまま俺の部屋へ直行した。レンレンが。
「なにしてるの」
階段の下で立ち尽くしている俺に、レンレンが不思議そうな表情で言ってくる。
突然エロメールの送り主であるレンレンがやってきて、家に誰もいないと知り「丁度いい」と言って俺の部屋に向かっていったんだ。
立ち尽くしてしまっても無理はないだろう?
何か、具体的にはエロいイベントがあると期待してしまっても無理はないだろう?
ただでさえ毎日のようにエロ写真を見せられていて、そりゃ発散はしていたとはいえ、その写真のモデルが童貞高校生の俺しかいない家にあがったのだ。
我慢するなってほうが無理な話である。
「………」
俺は誰に言い訳をしているんだ。
いや、まだ何もしていないから言い訳でもないんだけど。
「弘樹、部屋にきて」
部屋に入っていくレンレン。そこ俺の部屋だけどな。
高まる期待。
膨らむ肉棒。
自分の部屋を覗き込む。
「遅い」
叱られた。
レンレンはソファに座っていて、隣に座るよう促してくる。
隣に座る。
ちらりとレンレンの視線がある一点を捉えた。
「…えっち」
「誰のせいだよ…」
俺の息子は元気ですはい。
「弘樹に作戦を伝える」
「は?」
こんなときでも中二病ですか?
「作戦名は……『セップンデイズ』」
「なに言ってんの?」
思わず素でツッコんでしまった。
色んな意味で萎えた。
何がセブンイレブンだよ。
いや、セブンデイズだっけ?…どっちでもいいや。