第六話〜接吻〜-2
「セップンデイズ」
セップン?せっぷん…接吻。キス。
「キスか!」
「そう。夏休みの間、私は弘樹の部屋に泊まります」
「………え?」
今、とんでもないことを口にしなかったか?
「夏休みはおよそ一ヶ月、週にして五週間」
レンレンが一ヶ月以上も俺の部屋で寝泊まりする…だと?
無理無理無理無理!理性を保てる自信がありません!断言してもいいが、一晩でも無理だね!
「まずは一週間。弘樹には私の唇をあげる」
一週間。唇=キス。
七日間と接吻をかけてセップンデイズなのね。
いやそんなことはどうでもよくて。というか上手くないし。
美味いかもしれないけど。甘いかもしれないけど。
「最初の一週間は唇だけで我慢して。我慢できたら、次のステップに進むから」
「勝手に話を進めるなよ」
『次のステップ』が非常に気になるところではあるが、そろそろツッコんでおいたほうがよさそうだ。変な意味ではなく。
「私が泊まるのは、イヤ…?」
「イヤじゃねーけど…」
ある意味で反対だ。何か起こっても知らんぞ。
「一日二日ならともかく、そんなに長い間泊まるなら互いの家族に了解をもらわなくちゃいけないだろ」
「大丈夫。私の両親にはもちろんだけど、弘樹の両親からも了承は得ている」
「いつの間に…」
「コンタクトがあるの」
コンタクトレンズがどうかしたのか?
そういえばレンレンはたまに目を細めているから視力が悪いんだろうけど、コンタクトレンズやメガネは持っていないのだろうか。
「それなら問題ないな」
「でしょ?」
「そんなわけあるか!問題ありまくりだ!」
例え本当に互いの両親から了解を得ていたとしても、学校関係者にこのことを知られたらマズイだろうが。
教師もそうだけど、それ以上に生徒、特にクラスメートに知られると非常にマズイ。
あらぬ尾ひれがついて噂が学校中、さらには町中に拡まる可能性がある。
そんなことになったら停学だの退学だのと面倒なことになる。
「弘樹にいい言葉を教えてあげる」
「なんだよ」
「決まりで人は動きません。人は感情で動く生き物です」
「なら感情に身を任せて今すぐお前を襲ってやろうか」
「そ、それは困る…」