第五話〜誘惑〜-1
「説明して」
俺に後ろから押さえられたまま、別の言い方をするなら抱きしめられたまま、レンレンが訊いてきた。
「それはこっちのセリフだっての」
「……そう」
今のやり取りで理解したらしいレンレンは、しゅんとうつむいてしまう。
「なんでわざわざ、一ノ瀬可憐ってキャラを作ったんだ?」
「…『佐藤愛理』って名前、好きじゃないの…可愛くないし…」
そうか?可愛いと思うけどな。
そりゃ『佐藤』って名字は日本一ってほどよく見かけるけど、下の名前の『愛理』は中々いないと思うぜ?
多い少ないは関係なしに、やっぱり愛理って名前は可愛いよ。うん。
「『一ノ瀬可憐』は、可愛い名前でしょ…?」
たしかに『可憐』も『愛理』に負けず劣らず可愛い名前だよな。『一ノ瀬』って名字も個人的にお金持ちって感じがするし。
『○○院』とか『○○条』なんかもそんな感じがするだろ?
俺だけ…?
「名前が気に入らないから、わざわざ一ノ瀬可憐を作ったのか」
「そうよ。それから、正体がわからなければ、色々できそうだったから…」
「おっぱい写真のことか?」
レンレンは耳まで真っ赤にして恥ずかしそうにこくりと頷いた。
「やっぱりあのおっぱいは、レンレンのおっぱいだったんだな」
「やっぱりってどういうこと」
「理科ちゃんって巨乳、というか年齢の割におっぱい大きかったろ。ごふっ」
腹にレンレンの肘が打ち込まれた。
「さすがロリコンね」
「待てまて。俺が理科ちゃんのおっぱいに興味があったのは、あくまで一ノ瀬可憐だと思ってた間だけだって」
嘘です。
レンレンの妹、つまり小六だと知ってからも触りたいと思ってました。サーセン。
「どうだレンレン。俺のこと好きなんだろ?付き合ってみるか?」
「…はぁ。ムードがないわね。それに弘樹、あなた私のこと好きではないでしょ?」
「意識したことがないわけじゃないけど、異性として好きって思ったことはないな」
なんせレンレンは友達なのだ。人生初のな。
正直Hしたいって気持ちはあるけど、友達は友達。大切にしなければいけない。
「あ、でも強いて言うなら」
「なに」
「貧乳は好きだぜ」
俺が揉んで大きくしてやるぜ!ってなるよな。
「ごふっ」
本日二度目の肘うち。