第四話〜一ノ瀬可憐〜-1
「弘樹様、こんにちは」
翌日、レンレンは宣言通り一ノ瀬さんを連れて家にやってきた。
「はじめまして、というのもおかしな話ですが…一ノ瀬可憐です」
ぺこりと頭を下げる一ノ瀬さん。
顔はレンレンに似ているが、もしかして従姉妹か何か?
髪はレンレンとは真逆で長く、おっぱいは服の上からでもわかる発育ぶり。そしてお嬢様って感じの白いワンピースドレス。
「………」
違和感。なんなのかはわからないが、奇妙な違和感。
「あ、あの、山口弘樹です」
「はい。もちろん存じております」
違和感の正体はわからないが、一ノ瀬さんが可愛いから気にしないでおこう。
「どう?ちゃんといたでしょう、一ノ瀬可憐は」
「あ、ああ。悪かったな、変な誤解をして。あと、ケータイも勝手に見ちまって」
「わかればいいのよ」
ふたりは家にあがり、居間に通した。
今日は両親ともに残業で遅くなるらしく、家には俺しかいない。弟はもうすぐ帰ってくるだろう。
「気をつけて可憐。あまり弘樹に近付くと妊娠するわよ」
「えぇ!?に、妊娠しちゃうの!?あ、えと、妊娠してしまうのですか!?」
「………」
え、何今の。お嬢様口調はキャラ付けしてるの?
ショックを受けつつ、ふたりにソファに座るよう促す。ちなみに俺の部屋にあるのと同じタイプの長いやつな。
「コーヒーでいいかな?」
「はい。おまかせします」
「私には何も出さなかったのに…」
レンレンの文句を受け流し、コーヒーを一人分用意する。
「聞いてもいいかな」
一ノ瀬さんの前にコーヒーを置き、ずっと気になっていたことを訊いた。
「どうして俺のことを好きになってくれたの?」
「そ、それは、ですね…」
一ノ瀬さんはちらりとレンレンに視線を送った。
「大丈夫よ可憐。落ち着いて」
「え…うん」
うつむく一ノ瀬さん。
おっぱい写真を同封するぐらいだから、どんな人かと思ったけど…意外とウブ?
…おっぱい?
あのおっぱい写真は、もう少し小さかったような。
「好きになった、理由は…や、優しい、から?」
「そのクエスチョンマークはなんなの…」
「あ、や…かっこいいから?そ、そうです!かっこいいからです!」
えー…なんか今思いついたって感じなんだけど。