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文通〜first episode〜
【ラブコメ 官能小説】

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第四話〜一ノ瀬可憐〜-3

文面での一ノ瀬さんは大人だった。
きっとさっきみたいに直接「おっぱい触らせてください」って頼んでも、柔らかく微笑んで「結婚するまでお預けです」と返してくるはずなのだ。

「一ノ瀬さん、じゃないよな?」

「ほらやっぱり見破られてる!」

「?」

見破られてる…?肯定ってことでいいのか?

「あ、あの、ごめんなさい!」

一ノ瀬さん(偽)は立ち上がって九十度頭を下げた。

「本物の一ノ瀬さんはどうしたの?風邪かなにか?」

「……いません」

「?」

一ノ瀬さん(偽)は頭を下げたまま、

「一ノ瀬可憐なんて人は、最初からいないんです」

そう言って頭を上げた。
一ノ瀬さんが、最初からいない…?
言っている意味がよくわからない。俺は存在しない人物と文通をしていたってことなのか?

「一ノ瀬可憐は、ねーねが産み出した、空想の人、なんです…」

「ねーね…」

『ねーね』とはお姉さんのことを指す。とあるゲームで姉のことを「ねーね」、兄のことを「にーに」と呼んでいるヒロインがいたので知っていた。

「もしかして君は…」

「はい…騙していてごめんなさい。私は佐藤理科(さとう・りか)、ねーね…佐藤愛理の妹です」

レンレンの妹…たしかに小六の妹がいると言っていた。
…む…?小六…?

「おっぱい育ちすぎだろ!」

「どれだけ胸が好きなんですか!?この変態!」

一ノ瀬さん(偽)改め理科ちゃんに怒鳴られてしまった。
ってことはなに。俺は小六の女の子に「おっぱい触らせてください」とかお願いしてたわけ?
うわー…鬱だ死のう…。

「こほん。今まで弘樹さん…呼びづらいので『にーに』でいいですか?」

「『おにーたん』で頼む」

「………」

冷めた目で俺を見つめる理科ちゃん。

「…今までにーにと手紙やメールのやり取りをしていたのは、ねーねなんです」

「まぁ、そうなんだろうな…」

あれ?じゃああのおっぱい写真、マジでレンレンのおっぱいだったのか…?
どんだけ変態なんだよレンレン。

「弘樹、何してるの」

変態レンレンが戻ってきた。
俺が理科ちゃんの隣にいるのを不思議に、もしくは不快に感じたらしいレンレンは、無理矢理俺たちの間に座った。


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