和州記 -一紺ガ女--5
竜胆は心の中で呟いて、己の胸を捏ねるように揉んだ。
「ん…く、ふぅ」
さらしを外し、直に揉んでみるとたちまちその先頭が屹立する。
指先で軽く摘むと、痺れるような感覚が竜胆を襲った。
「あぁんッ！」
そっと、股間に手をやる。
微かだが、そこは既に濡れていた。指に纏わりつく粘液を感じ、竜胆は顔を更に紅潮させる。
いつから自分はこんなに感じ易い身体になっていたのだろう。
彼と初めて身体を重ねて、それから彼が自分を求めればそれに応じた。
さして時は経っていないのに、竜胆の身体は着実に一紺によって開発されて行っている。
「んッ、あ、ああ…はんッ！」
秘所に指を埋め、動かす。時折抜き出ししながら、擦りつけるように。
溢れ出る愛液が股を濡らし、指を濡らし、床を濡らす。
陰核に触れると、自分でも驚くほどその身体が跳ねた。
「ひゃうッ！」
段々と目の前が白くなって行く。
「やぁ…んぅ！あ、あああッ！！」
辺りが真っ白になった。幾度となく味わった絶頂も、今は虚しい。
「一紺…」
快楽に溺れ、絶頂を迎える時はいつも彼が傍にいた。
それが今は、いない。
淋しさと、後悔に竜胆の頬を涙が伝う。
「…謝ろう」
呟いて、彼女は少し自分に素直になれたような気がした。
「はぁん！もっと、もっと深くまでぇッ！」
暗い部屋の、微かに焚かれた香の中で撫子が喘ぐ。
揺れる二つの双丘は、大きさも然ることながら美しい。
その形を左手で変えながら、一紺は右手では撫子の秘所を掻き回す。
二本の指はすっかりと彼女の蜜壷の中に埋まり、一紺はぐちゃぐちゃと音を立てながら挿入を繰り返していた。
くびれた腰に手を回し、さらに指を三本にして奥を抉るように突き挿れる。
ぐちゅり、そんな音が絶えず響く。
「あ、あぁッ！あああ―――ッ！！」
一際大きい嬌声。撫子が果てる。
息も荒いまま、彼女は一紺の一物を軽く握った。
「…ッ」
「可愛がってあげるよ、一紺…」
艶かしく笑みを浮かべ、赤い舌で一物を舐め始めた。
先端への刺激に、一紺が息を吐く。
（竜胆よか、全然上手いけど…）
それはついこの間のこと。
最中に、一紺が口戯のことを口にした。
すると竜胆は顔を顰めて言ったのだ。
『…口で？』
さも嫌そうな顔をした彼女ではあったが、殊勝にもその後にしてくれたのである。
初めてだから仕方ないが、上手いと言えるものではなかった。
それでも一紺は思う。
（撫子より竜胆の方がずっと…）
「どうしたの？感じてないの？まだまだじゃない」
撫子は、笑みを深くして硬くなり始めたものを自分の豊満な胸の間に挟んだ。
そして、そのまま撫子は胸を揺らす。
撫子の汗が迸った。
「これで…どう？もっと、感じてよ」
胸に添えていた両の手で、柔らかな胸を内側に押すようにする。
何とも言えない刺激が、一紺を襲った。
「ッ！」
「どう、イキそう？イクなら言って、全部飲んであげるから…」
（あいつはこんなもん飲んであげるなんて言わんけど…）
口戯をしてくれた竜胆は、それで一紺が果てた後に言ったのだ。
『気持ち、良かったか？』
照れて赤くなった頬。
勢いで彼女の口元に飛んだ精液を、赤い舌で舐め取った竜胆の苦笑が混じった表情。