第三話〜疑惑〜-1
「レンレン、次はいつ遊びにくるんだ?」
学校での昼休み。
一人で弁当を食べようとしているレンレンの机に、俺は何も言わずに自分の机をくっつけながら訊いた。
「友達みたいな言動はやめて」
「え…」
グサリと心が抉られた。
俺はてっきりレンレンと友達になったもんだと思っていたが、彼女はそうは思っていなかったらしい。
「わ、わり」
「待って」
机を離そうとすると、その机を押さえられた。
「構わない。一緒に食べましょう」
「友達でも、ないのに…?」
「い、いじわるしただけよ……友達に」
レンレンに初めて『友達』と言われて泣きそうになっちまった。
「なぁ、今度一ノ瀬さんと三人で遊ばないか?」
「三人では格闘ゲームはできないわ」
「交代でやればいいだろ。ってかお前、それ手作り?」
レンレンの弁当箱には白いご飯、唐揚げ、野菜炒め、沢庵(たくあん)が入っていた。バランスもよさそうだし、美味そうだな。
「いいえ。妹が作ってくれたのよ」
「へぇ。妹さんがいるんだ」
「えぇ。ちなみにこの沢庵は、妹が漬けたものよ」
「市販じゃないのか、すげぇな」
俺は沢庵を一枚、勝手に手掴みで食べた。
「お、美味い」
「私の妹は、色々とスペックが高いのよ」
きっと姉が中二病だから苦労してるんだろうな、なんて言えるわけもなく。
「妹さんっていくつ?」
「ロリコンには死を」
「え?なんで年聞いただけで殺されるの!?」
「妹は小六よ。小学生に興味があるの?」
「あるわけねぇだろ!」
俺はロリコンじゃないっての。むしろ年上が好きだと断言できるね。
「未発達のおっぱいぐひひ、と心の声が聞こえるわ」
「思ってねぇよ!」
「でも残念ね。スペックが高いと言ったでしょう」
「え?」
もしかして小学生にして巨乳ですか!?
「目をキラキラさせながらこちらを見ないで」
「いやすまん。なんでもないんだ」
「あなたは一ノ瀬可憐だけ見ていればいいの」
見ていればとか言うけど、おっぱいしか見たことないっての。
「会わないことにはなんともな…」
「慌てなくてもいずれ会わせてあげるわ。いずれ、ね」