第三話〜疑惑〜-5
あれはつまり、ちゃんと手紙が届いているのか不安になって確認したんじゃないのか?
その後も「手紙の返事をしろ」と脅してきた。
それらは友達である一ノ瀬さんのためなんかじゃなくて、自分が一ノ瀬さんだから返事を待っていただけなんじゃ…?
「あっ」
戻ってきたレンレンと目があった。
俺の両手にはレンレンの鞄の中にあった赤と青のふたつのケータイ。
「何を、しているの…?」
「レンレン」
「何をしているのか訊いたのよ、私は」
いつもと違って語気が強い。
当然か。俺がレンレンのケータイを持っているのだから。
「一ノ瀬さんに電話したら、このケータイが鳴った」
「それで?」
「気になって調べてみたら、このケータイが一ノ瀬さんの物だとわかった」
「……ご明察。それはたしかに彼女のケータイよ」
レンレンは動揺しているようには見えない。俺の考えは間違っていたのか…?
「一ノ瀬可憐は…レンレン。お前なんじゃないのか?」
レンレンと視線が交差する。彼女の表情は真剣そのものだ。
「一ノ瀬可憐は私の自作自演だと?」
「ああ」
「おもしろいじゃない……明日、一ノ瀬可憐を見せてあげる」
「なに…?」
「本物の、一ノ瀬可憐を」