第二話〜訪問〜-1
佐藤さんと別れ、俺はその日のうちに一ノ瀬さんへ手紙を出した。
『お元気ですか?俺は元気です』
何を書けばいいのかわからず、そんなありきたりな内容になる。手紙としてはやや言葉が足りない気がしなくもない。
「好きな食べ物とか聞けばいいのか…?いや、しかし…」
相手は俺に好意を持ってくれている。あまり変なことを書くと、期待させてしまうかもしれない。
「いっそ嫌われるようなことを書いてみるか」
『一ノ瀬さんのおっぱいは大きいですか?』
完璧だ。これなら嫌われてもおかしくない。
***
数日後、またも一ノ瀬さんから手紙が届いた。
『弘樹様も殿方ですものね。女性の胸に興味があるのは、仕方のないことなのでしょう』
大人だ…!一ノ瀬さんすごく大人だ!というか『殿方』なんて使う人いるんだ。やっぱりお嬢様なのかな?深窓の令嬢ってやつ?
さて気になるバストサイズはっと…。
『恥ずかしいので、会うまで内緒にしておきます』
ナンテコッタイ。
いや待て逆に考えろ。会う機会があればおっぱいを見せてくれるってことじゃないか?だよな?だよな!
「じゃなくて、嫌われなきゃ意味ないだろ…」
その気がないのに期待させるのも悪い。かといって『もう手紙送ってこないで』なんて書けるわけがない。
「おっぱいじゃ足りなかったか……それなら」
『一ノ瀬さんはオナニーとかします?』
我ながらすごく変態的なことを書いてしまった。
だがこれで嫌われることは確定したな。相手がお嬢様ならなおさらだ。
***
「………」
また一ノ瀬さんから返事があった。
だが重要なのは中身だ。果たして…。
『弘樹様ったら、女性に何を聞いているんですか』
「お、おぉ…」
お咎めといえばその程度で、特に嫌われたようには感じなかった。
中々強敵のようだ。敵ながら天晴れ!って別に敵じゃないか。
しかしオナニーでダメとなると、もっと変態アピールをする必要があるぞ。
『一ノ瀬さんのおマンコはぁはぁ』
よしこれは確実に嫌われた。俺でもこれは引くわ。
***
「なん…だと」
またしても返事の手紙があった。
警察に通報されてもおかしくない内容だったのに、よく嫌いにならないな。