第二話〜訪問〜-3
「ちなみに佐藤さんは?」
「レン、と何度言えばわかるの」
「レンレン」
「れ、レンでいいのよ」
なぜか顔を真っ赤にする佐藤さん。『レンレン』って呼ばれるのは恥ずかしいらしい。これは使える。
「ケータイぐらい持っているわ」
「よし、んじゃ番号とアド教えてくれ」
「……なぜ?」
「なぜってレンレン、今度遊びにくるんだろ?なら知ってたほうがいいじゃん」
「………」
レンレンは渋々といった感じで、赤外線を使ってケータイの番号とアドレスを教えてくれた。
「サンキューレンレン」
「恥ずかしいからその呼び方はやめて」
「別に恥ずかしくないだろレンレン」
「やめてと言ったの」
「呼びやすいしいいじゃんレンレつめたっ!?」
レンレンは水鉄砲で俺の顔に攻撃してきた。イジメすぎたか。
「おまっ、それ持ち歩いてるのかよ!?」
今時小学生でも持ち歩かないぞ。
「私は暗殺者。銃の携帯は日常自販機よ」
「え?」
今『日常自販機』って言いませんでした?某有名小説のネタなのか、あるいは天然…。
まぁあまり深くツッコむとややこしいことになるから、何もツッコむまい。
「レンレンって結構可愛いところあるよな」
「そ、そう…?」
レンレンはニヤケるのを我慢しているような表情になった。
「中二病ってのも、なんか可愛い」
「な、なんのことかしら」
バレバレだっての。水鉄砲を『ハンドガン』とか呼んじゃう痛い暗殺者がいてたまるかっての。
「レンレンのこと好きになっちまうかも」
「っ〜!」
レンレンは恥ずかしそうにうつむいてしまった。もしかして満更でもなかったり…?
「やべ。冗談言ってる場合じゃねーや。そろそろ昼休憩終わるぞ」
「……こ、の……女たらしのアホチンがー!」
女の子が『チン』とか言うなよ勃起するだろバカ!
***
数日後、宣言通りレンレンが家にやってきた。
・・・・・
「誰もいないけど上がってくれ」
両親は共働きしているので仕事に行っていて、弟は友達とどこかへ遊びに出かけてしまった。なので家には誰もいない。
「言っておくけど、今日はハンドガンではなくショットガンを持ってきたわ」
そう言って小さいモデルガンを見せてくるレンレン。初めて会ったときに持っていた物と同じモデルガンだろう。