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文通〜first episode〜
【ラブコメ 官能小説】

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第一話〜転校生〜-1

 
『暗殺者』と名乗るレンと出会った三日後、またも一ノ瀬可憐から手紙が届いた。

『お返事が頂けなかったので、ご迷惑かとは思いますがまたお手紙を出してしまいました。お許しください』

返事の催促をする内容だった。
この一ノ瀬可憐さんは諦めてないのね。

「………」

ほんの少し考えた末、俺は一ノ瀬さんに返事の手紙を出すことにした。誰かのイタズラであったとしても構わない、おちょくられないような内容にしておけば問題はない。

『会ったこともない人と結婚はできません』

ただそれだけ。あとは手紙に書いてあった住所を書いて投函した。

   ***

あれから一ノ瀬さんからの手紙もなく、レンに襲われることもなく一ヶ月が経過してしまったある日。

「今日はなんと、転校生がいます!」

元気だけが取り柄の担任女教師(三十代・独身)・神田ちゃんが明るい笑顔で言った。

「ささっ、入って入って!」

神田ちゃんが教室のドアを開き、転校生の女の子が堂々と進入してくる。

「ん…?」

あの顔、見たことある気がするんだが……リアルの人間は見分けがつかなくて困る。
転校生は壇上に立ち、一瞬だけこちらを見た……ような気がした。

「佐藤愛理です。よろしく」

佐藤愛理…?はて、聞いたことある名前のような気がするんだが。
いやきっと何かのヒロインの名前に違いない。

「佐藤さん、じゃ三人もいるからややこしいわね。愛理さんの席は後ろね」

佐藤さんはつかつかとこちらに歩いてきて、通りすがりざま、

「ふっ」

残虐的な笑みを浮かべ、こちらを見つめてきやがった。

「こわ…」

なんだよあいつ。何か俺に恨みでもあるってのかよ。

「さぁさ!愛理さんへの質問はあとでね!」

背後で佐藤が座る音。っていうか席、俺のすぐ後ろ?

「………」

振り返って確認してみようかと思ったが、またあの残虐的な笑みをしていたらと思うと怖くてできなかった。

   ***

その日の放課後、帰宅途中。

「………」

背後から足音が聞こえてくる。それだけなら普段と変わりはないのだが、俺が何気なく止まるとその足音も止むのだ。
つまり俺は、何者かにストーキングされているということになる。

「まずいな…」

家はもうすぐ近くだ。だがそのためには人気のない裏道を通るか、少しばかり遠回りになるが公園を通るしかない。


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