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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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巡り巡る世界-2

「いっけぇ!!ゼイン!!やっちゃえっ!!」

「アース!負けんなよっ!!」

 女共が無責任にはやし立てる声が聞こえる。

「俺に巻き込まれた事っ……てめぇこそ後悔しやがれっ!!」

 カリーの声に後押しされたゼインは、腕を振ってロングソードを弾き飛ばした。

「うをっ?!」

 腕のひと振りで吹き飛んだアースは、反対の手を地面に着いてザザッと着地する。
 そのアースの目の前でバキバキと骨の軋む音と共に、ゼインの身体が変化していった。

 ザワザワと灰色の体毛が身体を覆い、筋肉が内側から盛り上がる。
 服を引き裂きながら身体がぐうんと大きくなり、同時にザアッと髪が伸びて銀色の鬣となっていった。
 伸びた獣の顔にある大きな口がぐぱあと開き、綺麗に並んだ牙が覗く。

『グオオァアァァッ!!』

 ゼインの雄叫びは演習場の空気を震わせ、衝撃波となって人々を襲った。

「くくっ……そうこなくっちゃ……なぁ?」

 アースはビリビリと身体に響く空気に、ぶるっと武者震いを起こしてにやぁっと笑う。

「うわぁ……嬉しそうな顔……エンさん。結界張っておいた方が良いですよね?」

 キャラは呆れた顔をした後、エンに声をかけた。

「準備出来てるよ〜でも、これで間に合うかなぁ〜?」

 一応、最強レベルの結界を用意したが、ゼインの実力も未知数だし、アースが本気を出したら呆気なく弾けるんだろうな〜と、エンは苦笑する。
 周りの心配を余所に、アースはロングソードを構え直した。

「容赦なしだっ!!」

 叫び声と共に走り出したアースを、ゼインの蒼い目が追いかける。
 グッと両足で立ったゼインはアースの動きを予想して、そこに拳を叩きつけた。

ズガッ

 アースに直撃するかと思われた拳は、地面をへこませて放射状の亀裂を走らせる。

「遅い遅いっ!」

 高くジャンプしたアースは、ゼインの腕を切り落とすべくロングソードを振り下ろした。

『グオッ』

 ゼインは反対の手を横に動かしてアースを振り払う。

「だから遅ぇって!」

 空中で身体を捻ったアースは、横から来た手をロングソードで受けた。
 ブシュッと皮膚が裂けて吹き上がる血を挟んで、2人はにまぁっと笑う。
 直ぐに弾かれるように離れると、ゼインは手の平の傷を舐め、アースは左手に魔力を集中させた。



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