3-1
「おい、兄貴!起きろ!」
身支度を終えた絢は、食卓に元の朝食を揃えながら叫んだ。
「おーい!眉無し!ロン毛!起きろ!」
元の腹に、蹴りを入れる。
結局元は、昨晩からそのまま床で寝ていた。
「おい!兄貴!」
「......うん」
「朝!学校!起きろ!」
もう一度、蹴りを入れる。
「う.....絢.....痛いよぅ...」
「甘えるな!今日はちゃんと学校行きなよ?」
「....うん....」
「あ、あとね、昨日兄貴が寝てる間に美帆ちゃんから着信あったよ。変わりに私出たからね。兄貴寝てるって言っといたから」
「....うん」
「メール送るって言ってたから、ちゃんと返すんだよ?分かった?」
「.....うん.....わりぃね....」
「謝るなら美帆ちゃんにね!私もう学校行くから、兄貴ちゃんと戸締りしてよ!」
「....うん」
「あとご飯はテーブルの上ね!じゃ、行ってきまーす!」
「.....行ってらー....」
生まれたての小鹿のように、ふらふらと起き上がる。
傍らに置いてある携帯を片手に、換気扇の下に行く。
「....いつ寝たっけ.....」
ボソボソと呟きながら、煙草に火を点ける。