3-7
-----------------------------------------------
美帆の手料理を食べ終え、元が食器を洗う。
煙草を吸いながら食器を洗うのが元の習慣になっていた。
落ち着いたところで、映画を流す。
肩を並べて座るブラウンのソファは、二人で買ったもの。
「腹いっぱいで集中できねぇ....」
「おいしかった?」
「もち」
「でも、絢ちゃんも料理上手だもんね」
「そうなのかな?」
「そうだよ!絢ちゃんみたいな妹ほしいなーって、思うもん」
「そう?」
「そうだよー。あんなに可愛い妹さん、いないよ?」
「ふーん.....」
穏やかな沈黙の時間。
部屋に響くのは、映画の音。
「みーちゃん、コーヒー淹れようか?」
「あ、いいの?」
「もち」
そう言って、立ち上がる。
元から、以前美帆がプレゼントした香水の匂いが漂う。
キッチンから、ガリガリとミルの音がする。
煙草を咥えて黙々と豆を挽く元を、美帆はクッションを抱きながらまじまじと見た。
(色っぽい.....)
白のタンクトップに、白のBDシャツ、黒のワイドパンツ。
まくる袖から覗く締まった腕には、血管が浮き出ている。
右手の手首には元が自分で作ったコイン付きのヘアゴム。
右手の薬指には、美帆がプレゼントした指輪。
顔が隠れる程の長髪は、艶やかにゆるい曲線を描く。