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「あ、ありがとう。あの.....さっきの人達、知り合い?」
「いや、さっき初めて会った。なんか声掛けられてさ、適当に流してた」
「でもはじめちゃんって...」
「みーちゃんがデカイ声で呼んだからじゃね?」
「あっ....」
「いやぁしかし焦ったよ。可愛くなくてっ」
笑いながら元は言った。
その言葉が、美帆を不安にさせない為だっていうことは、美帆自身が一番良く分かっていた。
その笑顔を独り占めしたくて、元の腕を引いて歩き出す。
「よし、行こ!」
「あ、みーちゃんさ、あそこ行きたいって言ってたよね。池尻の雑貨屋」
「うーん....」
「どした?」
「今日は、いいかなぁ...。ねぇ、今日はうちでダラダラしてようよ」
「...行かなくていいの?」
「また今度行こうよ」
「あ、そう。映画借りてく?」
「いいね!前に言ってたあれ観よう!」
三茶の某レンタルショップで二本映画を借りて、近くのスーパーで夕飯の買い物を済ませて美帆の家に行った。
三茶駅から上町方面に徒歩約10分、世田谷通りから少し奥の住宅街のオートロック付きマンション。
そこの3階が美帆宅だ。