best friend-8
「あ、そのサイトあたしも知ってるよ」
不意に左側から声をかけられ、驚いて声のする方を向いた。
そして、ハッと息を呑んで固まった。
声をかけてくれた娘は不思議そうにこちらを見ていた。
……似ていた。
世界一嫌いなあの女、恵に。
他人の空似はよくあるけれど、ここまで似てたら恵のドッペルゲンガーなんじゃないかと思うほどに、この娘は恵に見えた。
いや、むしろこの娘が恵で、私をイジメるためだけに密かにA高に入学していたのかもしれない。
途端に体が強張り、汗がダラダラ流れてくる。
次第に体が震え、視界がユラユラ揺らめいて、恵のドッペルゲンガーが二重三重にも見えてくる。
足元がグルグルまわり、床に足がついているのかわからなくなる。
「ね、ねえ!? 大丈夫!?」
ドッペルゲンガーの声までも恵と同じだった。
やっぱり、この人は恵だ……。
イジメられていた日々が蘇って呼吸が荒くなる。
吸って、吸って、吸って。
吐くことを忘れた私は、頭がパンクしそうになって、ついには目の前が真っ白になった。
恵……、どこまで私に付きまとうの?
いいかげんに……してよ……。
薄れていく意識の中で、うわごとのように呟いた自分の声だけが真っ白な頭の中で響いていた。