生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-1
「みんなも、久し振り」
「早羽…さん…」
小鞠さんがぽつりと呟いた。
その顔は何だか寂しそうな悲しそうな…。眉を寄せてそれ以上喋らなかった。キミさんも同じような表情だ。
ただ一人、オッさんだけは苛立ちを隠しきれないようで眉間にシワを作っている。
「どうして私がここの生徒だって分かったの?」
早羽さんが小首を傾げる。
大人っぽいイメージだったけど、こうやって制服を着ているとなるほど。やっぱり高校生なんだな。
初めて見たのに違和感が無いってことは着慣れているんだな。
制服姿も綺麗だな。
「…そ、そうだぞ優!どこでどうしてこんなことが分かったのだ?」
邪な考えを巡らせていた僕の胸ぐらを掴み、グワングワン揺する宝さん。
はっ!そうだ。なかなかのスリリングな場面なんだから集中しなきゃ。
僕を一頻り揺すり終わると今度は、訳がわからないと言うように頭を抱えた。
あと、それにそれに…と悶絶する宝さんの目は、ぐるぐる回っているように見える。
思いの外静かな先輩達が気にはなったけど僕は宝さんと早羽さんに説明することにした。
「あ、はい。その理由はですねぇ」
僕自身何から話せばいいのか分からなかったので、早羽さんがそれを聞いてくれて助かった。
あれもこれもな宝さんには助手をしてもらおう。
「僕と宝さんが早羽さんに自己紹介した時のこと思い出してみて」
「うむ…。確か、委員会名と名前を言ったはずだ」
そう。僕らは生徒委員会と名乗った。
「あのさ、他の学校に生徒委員会なんて変な名前の委員会、あると思う?」
「変じゃねーよ」と、オッさんが噛みついたが無視。
あの時早羽さんは、一般人には謎の委員会から派遣されてきた僕たちをすんなりと受け入れた。
「繚乱高校の生徒でさえ浸透してないってのに、無関係の人に『生徒委員会』なんて言ったら普通はポカーンだよ」
だけど早羽さんは「生徒委員会なんだ」と納得して僕たちの話を聞いていた。
僕は早羽さんに向き直った。
「それに早羽さん、一番始め僕らに何年生か聞きましたよね。制服を見て学校さえ知れれば、何年生かなんて普通はあまり気にしないんじゃないかと思って」
実際、神楽さん(おばあちゃんが通っていた茶道教室の先生)には高校名だけしか言ってない。
「だから、もしかして在校生なんじゃないかと思ったんです」
「正解。すごいね、かすみちゃん」
早羽さんが優しく微笑んでパチパチと手を叩く。
そして当時を思い返すように目を瞑った。