生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-7
「あのぉ、何で早羽さんが学校に来なくなったか知ってます?」
僕がそう聞くと、ハムさんは顔を歪めてう〜んと唸った。どうも話し辛いようだ。
しかし宝さんが「貴様、言わないとどうなるか分かっているのだろうな」と凄むと直ぐに教えてくれた。
「俺だけじゃなく3年ならみんな知ってんだけどな」
ハムさんは罰が悪そうに肩を竦めて、小声でこう続けた。
「桂木…。援交で停学くらったんだよ」
援交…。援助交際か。
その言葉にはあまり縁が無かったので、何となくフワッとした曖昧な感情しか持てない。
この縁遠い言葉を、僕らの知り合いは身近なモノとして受け入れていたのかな。
『2年の終わりにな。この学校の先生が、おっさんと腕組んでラブホ街歩いてる桂木を見つけたらしいんだわ。ほんで停学。そのまま春休みに入ったわけ』
ハムさんはそう言っていた。
『誰かがその一部始終を見てたみたいで、春休み明けにはみんな知ってたなぁ。桂木が学校に来ない理由っつったらこれだと思うんだよな。つぅか、その見てた奴ってーのは何でラブホ街にいたのかって話だけどな!アッハッハッ!』
いや、笑えないっすハムさん。
とまぁ、僕らは何も面白いことを言ってないハムさんにさよならして第4多目的室にやってきた。
自然と、いつもの席に横並びで座る。
「まさか、まさかだね」
「…」
「宝さん?」
宝さんはずっと何かを考えているようで、難しい顔をしていた。
「なぁ優。本当にそうだと思うか?」
「え?」
「寿絵瑠には到底思えないんだ」
「ん?」
「あの早羽さんがそんな、援助交際だなんて…」
僕もそうは思えない。けど…。
「人は見かけによらないし…」
僕らは早羽さんを何も知らない。僕だって早羽さんが援交だなんてそんなこと思いたくないけど、もしかしたら…。
「うーん…」
「宝さん?」
「…」
嫌な予感がする。
「よし!直接本人に確かめに行こう!」
やっぱり!またこのパターンか!
ていうか、ここに来て5分も経ってませんけど!
階段を登って出来た乳酸がまだ抜けてないのに!
言うや否や宝さんは立ち上がって僕の腕を引っ張った。
そうして、何も考えがまとまらない内に第4多目的室を後にした。