生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-6
次の日から僕らは行動開始した。
オッさんと早羽さんのこと、そもそも何故早羽さんは登校拒否になったのか、それを調べることにした。
「キミさんから返信は来たか?」
「一応来たけど教えてくれなかった。小鞠さんは?」
「同じだよ。それは言えない、だとさ」
宝さんはため息を吐いてしょんぼりと肩を落とした。
あの優しい小鞠さんまで教えてくれないだなんて、本当に何があったんだろう。
しかし、この結果は予想の範囲内。
宝さん曰く、情報とは聴くことらしい。
僕たちは依頼などで顔見知りになった先輩たちに何か知っていることはないか訊ねることにした。
「桂木?あーあのビッチね。鯨岡と?知らねーな」
「あの淫乱女と鯨岡くん?さぁ…前は仲良かったらしいけど」
「んー、元からそんなに関わってないからどうでもいい」
「え、どんな様子か?一人で平気みたいな顔で飄々としてたね」
「友達?さぁ。桂木に友達なんていないっしょ」
「桂木早羽ねぇ。知らない。あんなことあったら、さすがの鯨岡も引くだろ」
あんなこと?
何人かの先輩たちに聞いてみた結果、早羽さんの言われようは最悪だ。
ビッチだの淫乱だの、あの早羽さんからは思いもよらない言葉が飛び出してきた。
それに今の先輩が言ってた『あんなこと』って…?
「『あんなこと』って何があったんだろうね」
僕らは顔を見合わせた。
宝さんが首を傾げて腕を組んだ。
「早羽さんが学校に来なくなった理由…か。相当な理由がありそうだな」
「それにさ、なんか…異常に嫌われてたよね、早羽さん」
「ああ、悪口ばかりで気分が悪い」
宝さんは吐き捨てるようにそう言った。とてもとても悲しそうな顔だった。
何でこうなってしまったのか。どうにかしてあげれたんじゃないか。
宝さんの頭の中はざっとこんな感じかな。
表情からありありと伝わってくる。
僕らがまだこの学校に来る前の出来事なのにね。本当に正義感の強くて優しい子なんだな。
「…あ」
その時、僕は良く知る人物が向こうから歩いてくるのを見つけた。その人物は大きな身体を横に揺らしながらのそっのそっと近付いて来ていた。
「ハムさ〜ん!」
僕が手を振ると、ハムさん(本名・細井駆さん)も手を振り返して、僕たちの方へやって来てくれた。
「おお、香住。宝。3年棟で何してんだ?何か用か?」
ハムさんなら比較的グイグイいけるな。
「おいハム、桂木 早羽さん…知っているだろ?」
「…ああ、知ってるよ」
僕らが早羽さんを知っているのに驚いたのか、ハムさんが答えるまで妙な間があった。