生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-23
「は?とぼけんじゃねぇよ。あのマッチョ!どう考えてもお前の差し金だろうが。お前んとこの会社のだろ」
「…はっ!な、なぜオッさんは寿絵瑠がその会社の関係者だと見抜いたのですかっ」
「関係者ぁ〜?関係者どころか」
「あ、あのぉー!!!」
もう止めてあげて!可哀想で見てられない!本人が隠せていると思ってるんだから放っておいてあげてください!
「オッさん。キミさんたちに聞いたんですけど生徒委員会って、早羽さんが作ったんですよね?」
「え?あ、ああ。そうだよ。言い出しっぺはナベだけどな」
話題すり替え作戦成功。
「早羽さんに感謝、してるんですよね?」
またぁ。宝さん、すぐオッさんに絡むんだからぁ。
また暴れるじゃん!と思ったが、意外にもオッさんは恥ずかしそうに「悪いかよ」と言っただけだった。
「俺はあいつに救われて、同じように早羽はナベに救われたんだ。あとはほっとけ」
ぶっきらぼうにそう言って、オッさんは停めてあったリムジンに向かって歩いていった。自分を拉致ってきたスーツマンに家まで送っていけとせがんでいる。
「救われたって…どういう意味だろう」
宝さんもさあと首を捻った。
まあ、いいや。早羽さんは生徒会に戻ってくるだろうし、聞く時間はゆっくりある。
僕はまた渡邊先生と早羽さんに目を向けた。
「お願いの前にな、お前にちょっと言っとかなきゃならないことがある」
「え、何?」
「早羽、明日から放課後補習だからな」
「はぁい。そのつもりでしたよ。私も休んでる間の補習、お願いしようとしてたし」
「ほう、優秀だな。そんなんじゃ足りないから夏休みも無いことくらい分かってるよな」
「えー、それは嫌だなぁ…」
「あのなぁ、一学期もうすぐ終わるんだぞ?放課後だけで補える訳ねぇだろ?」
「はいはい、分かりました。そのかわり補習の担当はせんせだからね」
「そしたら俺も休みなくなるじゃねぇか」
「そうね」
早羽さんは手を口許に当ててくすくすと笑っていた。
実は幽霊の件で、僕は分からないことがあった。
どうして早羽さんは何度も現れたのか。しかも渡邊先生の授業の時だけ。
早羽さんが第4多目的室に来たのは鍵を返すためと言っていたけど、それならば一回で済むはずだと思っていた。
だけど、二人のやり取りを見てその理由が分かったような気がする。
学校を辞めるつもりで第4多目的室に来ていた早羽さん。
これで見納めにしようとしては、諦められない想いがたくさんありすぎて何度も何度も通ってしまったのかもね。
「優、何をぼんやりしているんだ?」
宝さんに話しかけられてはっとした。
「さあ、帰ろう。明日も学校だぞ」
にっこりと宝さんが微笑んだ。
僕が色々考えてる間に話は着いていたらしい。
オッさんも早羽さんもリムジンに乗ってスタンバイしている。
「乗れ。送っていく」
「リムジン、乗せてくれるの!?」
リムジンに乗れるなんて、一生で最後の出来事だろうな。
今日は何て最高の夜なんだ。