生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-20
●乙&早羽●
「…わけ……だろ…」
ずっと黙って聞いていた乙がぽつりと呟いた。
「…?」
あまりに小さな声だったので、早羽は思わず乙の方に目を向けた。
「んなわけねぇだろっ!!」
バンッと乙が机を叩いたかと思うと、鬼の形相でずんずんと早羽の方へ歩いてきた。その迫力に早羽は後ずさるが、乙に胸ぐらを捕まれ引き戻される。
「あのなぁ!早羽が援交してようがしてなかろうがんなもん、どぉーだっていんだよ!早羽は早羽だろっ!!」
乙が早羽を見上げる。大きく見開いた乙の瞳に困惑した表情の早羽が写っていた。
「そんなことじゃねえんだよ!何で俺達に何も言わねえんだよっ!!強がってんじゃねえよっ!!仲間だろ!?」
早羽は必死で乙の言っていることを理解しようとする。
どうでもいい?どうでもいいって?
乙の口から放たれる言葉は到底自分が思ってもいなかったものばかりで、ついていくのに必死だった。
「そんななぁ、泣くほど辛かったならなぁ、俺達にそう言えよっ!何で頼ってくれねえんだよっ!そのための俺達じゃねえのかよっ!そんなに信用ねえんかよ、俺たちはっ!!」
「…あ」
早羽は濡れている頬を拭った。ずっと隠していた涙は、さっきの言葉と一緒に流れ出していた。
そして、乙の瞳も潤んでいた。
ああ、私はこの人たちを傷付けてしまっていたのか。
傷付いたのは自分だけだと思っていた。可哀想なのは誰でもない我慢を重ねたこの自分だと、今まで思っていた。
だけど、その思いが、大事な仲間たちを傷付けることになっていたんだと、早羽はたった今、気付いた。
「本当はそんなに悲しいのに、何ニコニコへらへらしてんだよ!お前アホか!」
「…だって、だって私は…乙達にさえ信じてもらえれば…」
「ふっっっざけんじゃねえよ!俺達さえ!?俺達に言ってくれりゃあな、お前の居場所なんてなんぼでもどこにでも作ってやれんだよ!お前が望めば!!」
「……だって」
「うるせえーっ!!俺達はなぁ!生徒委員会なんだよ!!お前の望みを叶えるためにここにいるんだよ、ボケがあっ!!!!」