生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-2
「そうよ、確か…制服で繚乱生だってわかったけど、ネクタイの色が2、3年生じゃなかったから」
「やっぱりそうだったんだ。だから僕らをじっと見てたんですね。学校に来てないから、今年の1年生の正確なネクタイの色を知らなかった…」
「うん。消去法で1年生だろうとは思ったけど確信持てなくて」
早羽さんは困ったように笑った。
紅の視力やら能力やらを信じる訳じゃないけど、僕ら1年生が早羽さんを知らなくて当然だったんだ。
「…ほう、なるほどそういうことだったのか。言われてみれば確かに。
ではなぜ、副委員長だということまて分かったのだ?」
「うん、これはね小鞠さんの言葉でもしかしたらって思ったんだ」
「ぇえっ、あたしっ!?」
思いもよらないところに自分の名前が出てきたらしく、小鞠さんが声をあげた。
「あたし?何したっけぇ?うーん…」
腕組みをして考える小鞠さん。
「小鞠さん、僕の家の大まかな住所を知ってましたよね。僕は言ってないのに」
いつだったか、オッさんに僕の家はどこかと聞かれた小鞠さんは下百合町だと即座に答えていた。
「…あ」
小鞠さんは思い出したと同時に全部分かったらしい。
僕の知らない間に得意の情報収集で誰かに聞いたのかもと思ったけれど、本人がいつも近くにいるのにそんな回りくどいことしないだろう。
どの辺りに住んでるかなんて、他人より僕に直接聞いた方が手っ取り早い。
でも僕は聞かれてない。
「それに、オッさんだって『上百合町と下百合町を挟む道路』って知ってました。二人とも家の近くでも無いのに」
不機嫌そうに壁にもたれてたオッさんが口を開く。
「…そりゃあ、知ってんよ。だって」
そこから先は言いたく無さそうだったので僕が代わりに言ってあげることにした。
「二人の共通の知り合い。しかもお互い住所を知ってるくらい親しい人。つまり副委員長の家の近くだから、ですよね?」
オッさんが肯定代わりの舌打ちをする。
きっと、キミさんだって知ってるはず。
三人は、早羽さんの家の近くの道路を渡邊先生が通勤に使ってるって知ってたから、僕の話を聞いた時、既に僕の家のおおよその目安がついてたんだ。
「まとめると、幽霊と生徒委員会の副委員長は同一人物。
なので、この人物になり得る条件は1年生は見たことがない人であること。それと、あの道路周辺に住んでいること」
謎解きのクライマックスがいよいよ近付く。
あれれ、何か僕、名探偵みたいじゃない?
「早羽さんを繚乱校生だと仮定すると、二つの条件を満たしてるんです。条件を満たしたことによって、100%じゃないけど仮定は確信に近付きます」
どこかの推理小説で読んだような台詞がスラスラと出てくる。
でも小説では、探偵は証拠も揃って、全てが分からなければ謎解きをしない。
その点、僕は予想ばっかりだからまだまだヒヨッコだな。