生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-16
●乙&早羽●
乙は体に衝撃を受けた。
今まで誰かに担がれていたが、どうやら投げ捨てられたようだった。
早羽も、どこかにゆっくり下ろされてから暫くたったので、アイマスクを外してみることにした。
「…乙!?」
そこにはンーッと声にならない叫びを上げた無様以外の何者でもない乙が転がっていた。
すぐさま、アイマスクから猿ぐつわから外せるものは全て外していく。
「くっそ!やられた!宝だっ!」
自由になった瞬間そう言うと、すぐに跳ね起きてドアに向かう。
「おい、宝だろ!開けろ!何なんだよ!」
ドアを激しく揺さぶるが何故か微動だにしない。
すると
「オッさん、まぁ落ち着いてください」
呑気な香住 優の声がした。
「やーっぱりお前もいんのかよ!何だっつーんだよ!」
「頭を冷やしなさい。そうすれば出してあげますよ」
香住に続き、宝 寿絵瑠がぴしゃりと言い放つ。
その後はいくら喚こうが何の音沙汰も無くなった。
乙が騒いでいる間、早羽は冷静に辺りを見回していた。
「ここ、第4多目的室じゃない…。どうして、乙もいるの?」
●優&寿絵瑠●
オッさん、やっと大人しくなったみたいだな。
しかし、鍵もかかっていないドアを素手で押さえ付けているスーツマンの腕力って何なんだ。
ゴリラか。
「さあ、優。約束通りオッさんたちを二人きりにしたぞ。そろそろ、教えてくれるな」
「うん。…あ、んーと、何から言えばいいかなぁ。んー…そもそもね、たぶん勘違いだったんだ」
「勘違い?」
宝さんが首を傾げる。
「うん。勘違い。みんな勘違いしてたんだよ」
きっと誰かがもっともっと素直に自分の気持ちを言っていたら、こうはならなかったんじゃないかな。