生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-15
「はい」
短く返事をして男たちは後部座席のドアを開けた。
そこには目隠しをされたオッさんと早羽さんが座っていた。
自分で頼んでおいてあれだけど、誘拐を平然とやってのけるとはさすが宝家。敵に回したくない。
さて、さっき僕は「目隠しをされた」と言ったが状況説明を誤った。早羽さんについては問題ない。普通の黒いアイマスクを着けて大人しく座っている。
問題はオッさん。
手足が豚の丸焼きかのように縛られ小さく丸まっている。口には猿ぐつわ。アイマスクはキラキラした少女漫画風の瞳が描かれたパーティ用。
ああ、ひどい!哀れみさえ感じる!宝さんの悪意を疑わざるを得ない!
「た、宝さん?これ…」
「傑作だろう」
悪だ!その笑顔が悪だよ宝さん!鬼畜過ぎるよ!
もう一度言う。
宝家、いや、宝さんを敵に回したくない。
「ブーーーーッ!!!」
僕らの後ろでずっと様子を見ていた渡邊先生が堪えきれず吹き出した。
夜の無人の校舎を開けるのに先生が必要だったんだ。
「っくく…プッ!」
先生は溢れ出る笑いを必死に押さえながらオッさんのあられもない姿を写真に納めた。
クズだ!この人ドクズだ!
そんなことされたらオッさんはもう、お婿に行けない。
何枚か撮り終えると「お待たせしました」と呟いてどこかへ駆けて行った。遠くの方から笑い声が聞こえた。
スーツマンの屈強な体格をした方がオッさんをズリズリと引っ張り出して、まるで米俵かのごとく肩にかついだ。扱いがもはや物だ。
もう一人のイケメンスーツマンはそっと早羽さんに近付くと、早羽さんの耳元で「さあ、お嬢様着きました。私の首に手を回してください」と囁いた。
早羽さんは「はい」と素直に応じると、そのまま軽々と抱き上げ、二人は校舎の方へ向かって歩いていった。
「さあ、寿絵瑠たちも行こう」
「あ、うん」
僕は、涙目で腹を抱えていた外道教師を呼び寄せスーツマンの後ろを着いていった。