生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-14
「ほーんと、ワケわかんない」
話終えると小鞠さんがフーッと宙に細くため息を吐いた。
「あんなに仲良かったのに、突然犬猿の仲みたいになられると困っちゃうよね」
小鞠さんが苦笑する。
「そうなんですか?」
そもそもあの傍若無人と温厚篤実の早羽さんが仲良しライフを送っている様が想像出来ない。
「うん。…あのね、生徒委員会って早羽さんが作ったの」
「えっ!?」
僕と宝さんは同時に声をあげた。
「意外だよねー」と小鞠さんが笑った。
本当、意外だ。あの情熱からてっきりオッさんが立ち上げたんだと思っていた。
「足りないところをお互いに補いあっているという感じだったな」
はぁ、なるほどね。早羽さんが知能系、オッさんは体力系をそれぞれさばいてたのかもな。それなら想像出来る。
「オッくんねー、感謝してるって言ってた」
小鞠さんが懐かしむように目を細めた。
「早羽さんがいなければあいつはきっと馬鹿のままだったろうな」
ふんっとキミさんが鼻で笑った。
確かに。
オッさんの無駄な運動神経も、無駄なお節介も、無駄な熱いハートも、この委員会がなきゃ、きっと誰にも気付かれないで外見だけが独り歩きしちゃってたかも。
「そもそもぉ、早羽さんも頑固なんだよぉ!」
「どっちかが柔らかければこんな揉め事になってないだろ」
「お話を聞いてますと、オッさんの思考回路が全く分からないですね!やはり、本当は猿なのではないでしょうか?」
ほら。
やっぱり、生徒委員会は建て直さなくちゃいけない。あんなに暗い表情の二人が、今はこんなに笑顔。(中身はオッさん全否定の話題だけど)
僕らには必要な空間なんだ。
ようやく、みんなが分からないと言っているオッさんの思考回路が僕には大体分かった。
『テメェみてぇな奴発言』を聞いて、知りたかったことが知れたような気がした。
全ては「そんなことはどーでもいい」。
この言葉を二人が言っちゃったから、こんなにややこしくて虚しい結果になってしまったんだ。
きっと根底は単純なことなんだ。
「あの〜盛り上がり中のところすみません。なんとかなりそうなんで、僕に任せてもらえませんか?」
夜。
キッと乾いた音をたてて黒塗りのリムジンが僕達の前に止まった。
夜の校舎をバックに月明かりで輝く高級車。そこから降りてきたのはスーツを着た二人の男。
こんな光景テレビの中でしか見たことない。
「ご苦労だったな。二人を先に説明した部屋へお連れしろ」
その男たちに腕組みをして声をかける宝さん。その指揮を執る姿は様になっていて、この子は野心に満ちたお嬢様だっていうことを思い出した。