生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-11
「このこと、オッさんたちは知ってるんですか!?」
宝さんが興奮気味にそう聞くと、先生は困ったように肩をすくめた。
「それがな鯨岡だけ聞く耳持たなくて知ってるかどうか分かんないんだ。花間たちには言ってあるんだけどな」
何でだろう。じゃあ、オッさんは真実を知らない?
小鞠さんもキミさんも知ってて3ヶ月も経つのに?
「なぁ優。オッさんにこの事を教えてあげれば全て丸く収まるんじゃないか?」
「うん、まぁ、それはそうなんだけど。その前にキミさんと小鞠さんに確認したいことがある…んだよね」
オッさんにこの事を話したかどうか聞かないと。
「そうか、ならばメールは返信してもらえないかもしれないから直接聞きに行くぞ!」
またか!
僕は初めて一人で2年生の教室に足を踏み入れた。
教室内にいた生徒達による物珍しそうな視線が痛くて思わず肩を竦めた。
「ししし、失礼しまー…す」
消え入りそうな声で一応挨拶だけすると、目的の人物のところに抜き足で近付く。
「は?香住?」
「あ、あのキミさん。あの、ちょっと…」
僕は唖然としているキミさんの腕を掴むとぐいぐい引っ張った。
「おい、何だよ!もう授業が…」
「あの、いいからちょっと…ちょっと来てください」
状況が飲み込めてないキミさんをなかば強引に廊下に連れ出して、小鞠さんと一緒に廊下の隅にいる宝さんの元へ駆け寄った。
「キミちゃんヤッホー!」
「小鞠?宝も…?」
ポカーンとして口を半開きにしているキミさんを他所に、小鞠さんはあっけらかんと笑っていた。
「えー何々?どしたのぉ?すごいワクワクするぅ」
「ワクワクはしないがどうしたのかはオレも気になるな」
ふぅっと短く息を吐いて、キミさんは見定めるように腕組みした。
「あの、ですね、僕たち早羽さんのこと知っちゃったんです」
早羽さんの名前を出すと小鞠さんの顔からは笑顔が消えた。
「あんなの見せつけられたら…気になっちゃうよね。ごめんね、何も協力しないで」
しゅんとした小鞠さんにむかって宝さんが
「いえ、内容が内容だったので仕方ないと思います」
と、強く言った。
えへへと小鞠さんが力無く笑う。