生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-10
「お前ら…そこまで知ってんのか。で知ってどうするんだよ」
早羽さんと同じことを聞く渡邊先生。
もちろん僕らも「生徒会を元に戻したい」と訴えた。
暫く沈黙が続く。
「…一石投じる必要があるもんな」
先生がぽつりと呟いた。
「俺は教師だからな、言っていいことと悪いことがある。やっていいことと、悪いこともある」
突然先生の口調が変わった。まるで教師のようなしっかりした口調だ。
「今から言うことは生徒の守秘義務に背く。が、言っちゃう!」
てことは、先生!
「早羽を停学処分にしたのは俺だ」
意を決したように先生は僕らを見据えた。
「え、先生が?」
生徒委員会の顧問が生徒会副委員長を?
何て言うか…あんまりな結果だ。
「いいか、長期休み前ってーのは、教員達でグループを組んで町をパトロールすんだ。浮かれたアホどもがいるかもしれないからな。内緒だぞ。
その時に運悪く、あいつは俺たちに見つかったっつー訳だ。
俺一人ならスルーだったんだけどな、他の教員がいたから見逃せなかったんだ」
あの渡邊先生がどことなくしゅんとしているようだった。
「そう、なんですか。早羽さんはおじさんと腕組んでラブホ街にいたって」
「はい、そこ!腕は組んでない。もっと言うとあいつは援交なんてしていない」
「やっぱり!」
嬉しそうに宝さんは声を上げた。
「じゃあ、どうして早羽さんは停学に?」
「バイト」
バイト!そうか、うちの学校はアルバイト禁止だから…。
「しかも、バイト内容がまずかった。キャバクラだからなぁ。どうにも出来なかったんだよ」
キャバクラって…高校生なのに!?本当はこれ、退学でもおかしくなかったんじゃないの?
渡邊先生がいたから停学で済んだんじゃ…。
いや、今はそこじゃない。
つまりそのおじさんってそこのお客さんだったんだ…。迎えに行ったり駅まで送ったり、そういう店ではよくあることってテレビで見たな。
その一部始終を見ていた人が誰かは知らないけど、その人が広めた噂に尾ひれがついて、こんな事実無根の噂になったのか。
僕と宝さんはお互いに顔を見合せうんと頷いた。