契りタイム-6
壁も床もベッドのシーツも掛け布団も、全てピンク色で統一された部屋だった。
「ううむ・・・いかにもラブホテル、って感じの部屋だな。」
「そうですね。」
ミカはケンジに向き直った。「海棠くん、今日はごめんね、みんなにこのこと、言いふらしちゃって。」
「あははは。構いませんよ。本当のことですから。」ケンジはベッドの端に腰掛けた。「先輩、俺ね、」
「うん。」ミカもケンジの隣に座った。
「先輩が、大好きなお酒をあの環境で飲むことなく、俺とのこの時間に備えてくれたの、すっごく感激してます。」
「別に感激するほどのことじゃ・・・。」
「俺としては、先輩がお酒飲んだ上で、こうして俺といっしょの時間を過ごしてくれても、全然問題なかったんですけど。」
「いや、何かやっぱりそれじゃだめなんだよ。」
「どうしてですか?」
「確かめたい、って言うかさ。」
「確かめたい?」
「うん。あたし酒好きだから、飲んだ勢いで何でもやっちゃうでしょ。でも、これからの時間は勢いじゃだめなんだよ。だって、貴男にとっても失礼じゃない。」
「ありがとうございます。ミカ先輩。でも、こんな臆病者の面白みのない男と付き合ってくれてること自体、奇跡的なことですけどね。」
「海棠くんは臆病なんじゃなくてシャイ。それに貴男はあたしにとって、十分面白いよ。」
「なんですか、それ。」
「海棠くんの反応、あたし大好きだよ。」
「反応って・・・。」
「その歳の割にさ、ほんとに照れ屋だし。すれてない、って言うかさ。その実、双子の妹とエッチしまくってたくせにね。」ミカは笑った。
「ほっといてくださいよ。」
「それでもそれだけ爽やかボーイでいられるんだから。貴重だよ。」
「だから、単に臆病なだけですってば。」
「じゃあさ、その臆病な海棠くん、今からあたしを抱いてお互いにいい気持ちになれる自信ある?」
「緊張してます。」
「何で?」
「もし、今からミカ先輩を抱いて、俺だけ気持ちよくなって、先輩を気持ちよくできなかったら、この交際はこれからうまくいかないかもしれないってことじゃないですか。」
「何それ。別にそうなったらそうなったでいいじゃない。何度か繰り返すうちに二人の身体の相性って、良くなっていくもんなんじゃない?最初から二人とも同時に満足するようなエッチができるなんて、あたし思ってないよ。」
「そ、そうですかね・・・。」