カノジョの定義-11
自慰行為は全くしたことがなかったわけじゃない。
なんとなくエッチな気持ちが昂って、自分の身体を触ることは陽介と付き合う前にもしばしばあった。
……でも、今は単なる性欲解消が目的じゃない。
陽介がくるみさんとしてきたことに対する嫉妬、あたしが彼を振り回していたことに対する不安、そして彼がそんなあたしにいつか疲れてくるみさんの元に行ってしまうんじゃないかという恐怖。
陽介が隣にいてくれたならそれらは取るに足らないものになっていたかもしれない。
でも、ここに陽介がいないのなら、陽介を思い浮かべながら慰めることしか出来ないのだ。
とにかく負の感情から逃れたい。頭の中はそれだけだった。
「はあっ……、はあっ……」
ゆっくりデニムのショートパンツのボタンを外し、ファスナーを下ろすと、熱気を帯びたショーツが現れる。
いつもなら焦らして焦らしてやっと触れてくる陽介の手が、ここにない。
代わりにあるのは、陽介の手よりも一回り小さな見慣れた手。
不安と淋しさに押し潰されそうなあたしは、それを振りきるために、それを使ってショートパンツもショーツも一気に取り払った。
ついに裸になった身体を横たえると、タオルケットのサラサラした感触が背中に伝わってきた。
「陽介……」
陽介がすぐそばにいてくれるのを想像しながら、あたしは脚を思いっきり開いた。
そして、秘裂を右手の人差し指と中指で開いて外気に晒す。
陽介はいつもあたしのここを見ては「綺麗だ」なんて褒めてくれたっけ。
いつもなら恥ずかしくて見られるのを拒むくせに、今は見て欲しくてたまらなかった。
「陽介……、見て……」
左手で胸を刺激しながら、右手で中の秘肉を剥き出しにする。
すでにその指には愛液がベットリ張り付いていた。
頭の中で陽介が不敵に笑う。
『メグ、こんなに感じてるわけ?』
陽介の幻は、あたしの中に指を入れてきた。