アンバランスな愛-4
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「間に合ええぇっ!!」
完成した分離の魔法陣をエンが抱え、アースがキャラを抱いてゼイン=ザルスの落ちた谷底に飛び込んだ。
「浮 駿!」
アースは身体を浮かす魔法と、スピードをあげる魔法を3人にかけて落ちるゼイン=ザルスを追いかける。
「良いか!一発勝負だぞ!!」
「了解!」
キャラを離したアースはそう叫びながら先に飛び、キャラは慣れない飛行に悪戦苦闘しながら返事をした。
エンはいつでも発動出来るように分離の呪文を詠唱しつつ、しっかり頷く。
「居た!!転」
落ちていくゼイン=ザルスの身体を見つけたアースは、転移の魔法でゼイン=ザルスの下に移動した。
「止・ま・れぇっ!」
両手を上にあげたアースの身体から、金色の陽炎が吹き出してゼイン=ザルスの身体を受け止める。
「キアルリア!」
アースの合図でキャラがゼイン=ザルスに抱きついた。
「エン!」
そして、エンが掲げ持っていた魔法陣をそこに投げる。
ゼイン=ザルスとキャラを中心に、魔法陣が金色に輝き、その光が谷を明るく照らした。
エンの呪文の詠唱とアースの詠唱が重なり、金色の光が爆発するように起立する。
「う……ぐううっ」
過去に分離の魔法の為に魔力を供給したことのあるキャラ。
あの時は魔力の使い方も分からずに、ただ扉を開いただけだったが、あれから1年以上たっている。
供給のコツも分かってるし、何よりポロのおかげで身体を巡る魔力の動きがスムーズだ。
キツイにはキツイがあの時とは比べものにならないぐらいに楽だった。
キャラの魔力供給を受けて、分離の魔法は滞りなく行われた。
長いような短いような時間が過ぎて、詠唱が終わると魔法陣は光の粒となってほどけて消えた。
魔法陣の中心だった所、キャラの腕の中にはゼインの身体と小さな種が残されていた。