アンバランスな愛-15
「やぁん」
カリーはゾクゾクする背中を反らして軽くゼインを睨む。
可愛い反応を示したカリーを笑いながら見つめ、ゼインは会えたらちゃんと言おうと決めていた事をしっかりと口に出した。
「……愛してるよ、カリー」
好きなんかじゃ……大好きなんかじゃ全然足りない……だから最大級の愛の言葉。
カリーは頬を染めて艶やかに微笑むと、答える変わりに下手くそなキスをゼインに送ったのだった。
噛みつく勢いでキスを繰り出すカリーに押され、ゼインは仰向けに倒れる。
今日は押し倒されるのはこれで2度目だなぁ、と思いつつゼインはカリーの舌をぢゅうっと吸った。
「んむぅっ」
カリーは眉根を寄せて唇を離そうと身体を捩るが、背中に回ったゼインの腕がそれを許してくれない。
「んぅ……ぅ……ぁは」
何とか顔を反らして空気を吸うも、ゼインは追いかけてくる。
結構長い間唇を貪ったゼインは、やっと満足して唇を離す。
「は……ぁ……」
カリーはくてんと脱力してゼインの首筋にもたれ、荒い呼吸を繰り返した。
「……んもぅ〜」
今日は自分が攻めたかったのに、とカリーは頬を膨らまして文句を言う。
「可愛いなぁ〜♪」
いじける顔も可愛いし、キスしすぎてちょっと赤くなった厚い唇も、何もかも可愛い。
カリーは恥ずかしそうにもじもじした後、目の前に重大なものを発見した。
「ああっ!!」
「な、何だ?!」
耳元で大声をあげられたゼインは、耳をペタンと伏せてカリーに顔を向ける。
「やだもうっスランってば、ばっちりキスマークつけてるぅ〜」
「へ?」
つけられたのに気づかなかったゼインは慌てて首筋に手をやる。
撫でても分からないし、擦って消えるものでも無いのだが何となく。
「あのヤロ……いつの間に……」
何の意図があってキスマークなんか残したのか分からない。
カリーとの仲を修復したいのか、かき混ぜたいのか……いまいち掴めない男だ。
「なぁに嬉しそうな顔してんのよぅ〜」
「あ?」
そんなつもりはなかったのだが嬉しそうだったのか、とゼインは咄嗟に口元を隠した。
「む〜か〜つ〜くぅ〜やっぱりあの男、だいっキライ!!」
大事なファーストキスは奪うし、大好きなゼインの心にちゃっかり居座ってるアイツが大嫌いだ、とカリーはゼインの反対側の首筋に吸い付く。